”日本の税負担は世界最高水準”
”稼いでも半分は税金にもっていかれている”
と聞いたことはありませんか?
厳密には、所得税、住民税、社会保険、年金保険などを併せて、
「税金として持っていかれる」状態ですが、このうち、
所得税と住民税について、本当の税負担について考えてみましょう。
・所得税の税率は?
・住民税の税率は?
・課税される所得金額とは?
・具体的な年収でみてみましょう
所得税の税率は?
所得税の税率は、累進課税方式といい、
つまり、「稼ぎが多い人ほど税負担率があがる」仕組みになっています。
年収200万円の人の5%=10万円と、
年収2億円の人の5%=1,000万円は、その総額や手残りからして重さが違うため、
その調整のための制度と考えると良いと思います。
また、所得税の計算の仕方は、次の算式となっています。
「課税される金額 × 税率 - 控除額」
そしてその累進税率は次のような段階になっています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 ~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円 ~ 3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 ~ 6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 ~ 8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 ~ 17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 ~ 39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 ~ | 45% | 4,796,000円 |
例えば、課税される所得金額が1,000万円の場合は、下記のように計算します。
10,000,000円 × 33% - 1,536,000円 = 1,764,000円
※別途復興所得税約3万7千円かかります。
住民税の税率は?
住民税の税率は10%です。
(多少お住いの都道府県、市区町村によって変わります。)
例えば、課税される所得金額が1,000万円の場合は、下記のように計算します。
10,000,000円 × 10% = 1,000,000円
課税される所得金額とは?
税金の計算で、「課税される所得金額」というのは、ざっくりと、
①額面の売上(収入)から、
②経費(みなし経費)を引いて、
③所得控除を引いた金額
です。
サラリーマンのような給与所得者の場合を前提として例を見てみます。
①はそのままで、額面の給与金額ということになります。
②は、給与所得者の場合には次のように「給与所得控除」というみなし経費のようなものがあります。
例えば、額面1,000万円の場合には195万円と決まっています。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
(給与所得の源泉徴収票の支払金額) | |
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円から1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円から3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円から6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円から8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
③は人によって異なります。
例えば、結婚している、お子様がいる、ご両親を扶養している、ふるさと納税をしているなどなど、
様々な状況によって変動します。
中でも影響が大きいのは、給与などに連動する社会保険料です。
具体的な年収でみてみましょう
では次に具体的な年収例と税負担を見てみましょう。
ここでは、計算を簡単にするため社会保険料は給与の15%、それ以外は500,000円とします。
額面 | 所得控除 | 課税される所得金額 | 所得税率 | 控除額 | 所得税 | 住民税 | 合計の税負担 | 実質の負担 |
2,000,000 | 800,000 | 1,200,000 | 5% | 0 | 60,000 | 120,000 | 180,000 | 9% |
4,000,000 | 1,100,000 | 2,900,000 | 10% | 97,500 | 192,500 | 290,000 | 482,500 | 12% |
6,000,000 | 1,400,000 | 4,600,000 | 20% | 427,500 | 492,500 | 460,000 | 952,500 | 16% |
8,000,000 | 1,700,000 | 6,300,000 | 20% | 427,500 | 832,500 | 630,000 | 1,462,500 | 18% |
10,000,000 | 2,000,000 | 8,000,000 | 23% | 636,000 | 1,204,000 | 800,000 | 2,004,000 | 20% |
15,000,000 | 2,750,000 | 12,250,000 | 33% | 1,536,000 | 2,506,500 | 1,225,000 | 3,731,500 | 25% |
20,000,000 | 3,500,000 | 16,500,000 | 40% | 2,796,000 | 3,804,000 | 1,650,000 | 5,454,000 | 27% |
右端の実質の負担というのは、所得税と住民税の合計を、額面で割った割合です。
こうしてみると、税金だけの負担は半分はいかないということがわかります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「税金で半分持っていかれる」というの少し違っていることがわかると思います。
ただ、正確には、
”社会保険料、所得税、住民税などなどを併せるとかなり持っていかれる”
ということなだけです。