有名企業の「脱税」や「不正」がたまに世間を賑わせます。
その中の一つに「社員(従業員)による横領」もあります。
横領があった場合には、その個人がフォーカスされるだけのことがほとんどですが、
税務上はとても重要な懸念があります。
・被害者なのに税務上は加害者?!社員の横領
・税務上はどのように取り扱われるか
・ほかにはどのようなことに気を付けるべきか
被害者なのに税務上は加害者?!社員の横領
従業員が不正な行為(違法、規律違反)を行った場合、会社からすると
その従業員が悪で、会社は被害者のような気がします。
しかし、場合によっては税務上は会社が「漏れ」を指摘されたり、「損」をすることがあります。
例えば、従業員が会社に黙って、取引先からバックリベートを受領していたとします。
これは本来会社がもらうべきものですので、会社としては「収入の計上もれ」となるわけです。
税務上はどのように取り扱われるか
より具体的に上記の例を見てみましょう。
まず上記のように会社としては収入の計上漏れ(つまり所得が増える)の処理となります。
同時に、その収入は会社にはなく、個人が横領しているので、「損失の計上(つまり所得が減る)」となる…
と常識的には考えられますが、税務的には会社は個人から「回収すべき金額」があるだけなので、
損失は計上されません。
さらに言えば、その「回収すべき金額」は使ってしまっていて回収できないことが多い。
そのため、会社としてはあきらめる場合もあります。
しかしこの「貸し倒れ」の要件は厳しく、損金として認められない可能性が大きいのです。
従って、「横領される」「税金かかる」「回収できない」という何段階も損をするわけです。
他にはどのようなことに気を付けるべきか
上記はバックリベートでしたが、ほかには、
・売掛金の入金を従業員の口座にしている
・預金を従業員の口座に送金している
・現金を抜いている
…など
このような話は「うちには関係ないな、うちは大丈夫だな」と考えがちです。
しかし、「経理は一人にまかせっきり」という状態が中小企業ではよくあることです。
そのような状況であれば何が起きるかわかりません。
人の問題もありますが、体制にも問題がある場合があります。
一度社内体制を見直してみるのはいかがでしょうか?