民法改正により特別寄与料が変わった!

相続人以外の者は、遺産分割協議には入れませんし、
いくら相続人以外の人が、被相続人の療養看護に努めても経済的な保障はありませんでした。

つまり、例えば長男の嫁が義理の父の面倒をいくら見ても、1円ももらえないことがありました。

しかし、令和元年7月から民法改正により、相続人以外の親族の「特別の寄与」が
制度として確立され、特別寄与料の請求が認められるようになりました

これによって、例えば上述の長男の嫁が療養看護を行っていた場合などに対して、
法律的にもが整備されたといえます。

 

 

療養看護による特別の寄与とは?

「特別の寄与」の制度の意味

被相続人の親族(相続人以外)で
無償により被相続人の療養看護その他の労務を提供し、
被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者が、
相続人に対し、寄与に応じた額の金銭の支払を請求できるもの

つまり、被相続人や被相続人の財産を守ったりするお手伝いを一生懸命やった方が、お金をもらえる、
ということだといえます。

特別の寄与の請求はいつする?

相続人との間で協議が整わない場合、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できます。
相続の開始及び相続人を知った時から6か月以内、または相続開始から1年以内に限られます。

特別の寄与の金額は?

といっても、これまでの家庭裁判所の審判によって特別寄与料としてされた評価は、
介護サービス報酬の単価に介護日数を乗じ、寄与の態様に応じた裁量割合を考慮して算定。
その評価額は数百万円程度です。
内閣府の統計調査(2016年)でも専業主婦による家事活動の評価額を年間で約300万円としています。

特別寄与料は、みなし遺贈として課税されるので相続税に注意

特別寄与料の課税上の扱いは、
被相続人から遺贈により取得したものとみなして相続税が課税されます。

長男の嫁の場合、被相続人の一親等の血族及び配偶者ではないため、
相続税額は2割加算となり、特別寄与料の確定を知った日の翌日から10か月以内に、
相続税申告書の提出が必要です。

特別寄与料を払う側は債務控除になって相続税が軽減

一方、特別寄与料を負担する相続人は、特別寄与料の負担分を債務として控除できます。
つまりその分相続税が少なくなることになります。
また、既に相続税の申告書を提出していたときは、更正の請求をして、
債務控除後の金額での申告をやり直し、還付を受けることができたりします。

特別の寄与を認めてもらうためには?

法律で手当てがなされたといっても、証明できなければ難しいことにかわりはありません。

つまり、例えば長男の嫁が義理の父の介護にどれだけ努めていたかは、
家庭内で被相続人の療養看護によって財産の維持・増加に努めた行動記録を残しておくことが肝要です。

特別の寄与以外での報いる方法

また、特別寄与者は被相続人の心のケアを担う反面、様々なストレスも負っていることでしょう。
それに報いるためには、遺贈を選択することもできます

もちろん、法律も改正でサポートしていますが、
一番大切なのは感謝や尊敬など、ということは変わらないと思います。