『中小企業白書2020年版』では、中小企業・小規模事業者に期待される役割・機能を

グローバル展開をする企業(グローバル型)」、
「サプライチェーンでの中核ポジションを確保する企業(サプライチェーン型)」、
「地域資源の活用等により立地地域外でも活動する企業(地域資源型)」、
「地域の生活・コミュニティを下支えする企業(生活インフラ関連型)」
の四つの類型に分類し考察を行っています。


同白書において上記4つの類型に基づいて小規模事業者に対して実施したアンケート調査の分析結果についてみると、

「生活インフラ関連型」と回答した企業が62.5%と最も多く、以下「地域資源型」が23.6%、
「サプライチェーン型」が6.3%、「グローバル型」が3.5%の順となっています。
中規模企業も含めた中小企業全体と比較すると、
小規模事業者では、「生活インフラ関連型」、「地域資源型」の回答割合が高くなっており、
地域や住民生活との密接性を重視する企業の割合が高いことがわかります。


業種別に見ると、

「生活インフラ関連型」を目指す企業の割合が高いのは「医療・福祉」、
「生活関連サービス業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「金融業、保険業」などとなっています。
「地域資源型」を目指す企業の割合が高いのは「農業、林業、漁業」、「宿泊業」、「製造業」などとなっています。


4つの類型別に今後5年間の事業方針についてみると、

小規模事業者の中で割合の高い「生活インフラ関連型」では
「現状維持」と回答する企業の割合が58.5%となっており、「
成長・拡大」と回答する割合29.5%を大きく上回っています。


このように小規模事業者に期待される役割は多様なものとなっているのです。

では、小規模事業者においては期待される役割に対して具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。

以下で、中小企業庁編『中小企業白書2020年版』の中で、
特に小規模事業者においての役割が期待される「生活インフラ関連型」の事例として紹介された、
吉野川タクシー有限会社(本社:徳島県徳島市)の取組みについてみていきましょう。

同社の現社長は祖父が代表を務めていた同社を27歳のときに事業承継したことを契機に、
地域の人々の移動を支えることを目的に新たなサービス開発やIT化に取組んでいます。

同社では妊産婦が安心して病院に通えるよう、
妊産婦専用のタクシーサービス「マタニティタクシー」を新たなサービスとして考案しました。
同サービスは、安全性能の高い専用車両とヘルパーの資格を持つドライバーを特徴とし、
登録制で24時間いつでも通常のタクシーと同じ料金で利用できます。
また、複数の子供たちを相乗りさせて塾や習い事の送り迎えを行う「キッズタクシー」を考案しました。
これらの妊産婦・子供向けのサービスをきっかけとして、
同社のリピーターとなるケースもあり、通常のタクシー利用にもつながっています。

現場のIT化については、タクシーの自動配車システムを開発しました。
同システムの導入により、コールセンターが利用者から電話を受けると、
最短距離にいるタクシーを自動で検出し、車内に搭載されたタブレット端末経由で通知することで、効率的・安定的な配車が可能となっています。
 このように人口減少・少子高齢化が深刻な地方において、
地域住民のニーズに応えることで生き残りを図ることが可能となるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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