中小企業における事業承継推進の課題として、事業承継時の経営者保証の解除があげられます。

こうした状況を受けて、「経営者保証ガイドライン」の特則が2019年12月に策定・公表され、2020年4月より運用開始に至りました。

「経営者保証ガイドライン」は、

経営者保証に関する中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルールとして2013年12月に公表されました。
具体的には
①法人と経営者の関係の明確な区分・分離、
②財務基盤の強化、
③財務状況の正確な把握、情報開示等による経営の透明性確保
といった要件を満たす中小企業が、会社経営を後継者に引き継ぐ際に、
経営者保証不要で金融機関から融資を受けられる可能性があるとともに、既存の経営者保証を解除できる可能性があります。

「経営者保証ガイドライン」の特則は、

同ガイドラインを補足するものとして、対象債権者や、
主たる債務者及び保証人のそれぞれに対して事業承継の際に求め、期待される具体的な取り扱いを定めています。

そのうち対象債権者における対応としては、
①新旧経営者からの二重徴求の原則禁止
後継者の経営者保証は事業承継の阻害要因となることを考慮して慎重に判断
③前経営者の経営者保証は、2020年4月からの改正民法で第三者保証の利用が制限されること等
を踏まえて見直すことなどが求められています。

また、主たる債務者及び保証人における対応としては、

後継者の負担を軽減させるために事業承継に先立ちガイドラインの要件を充足するよう主体的に経営改善に取り組むことが求められています。
このようなガイドランの運用によって事業承継の促進が期待されているのです。

では、事業承継時の経営者保証解除に向けて具体的にどのような専門家による支援が行われているのでしょうか。

そこで2020年4月よりスタートした「経営者保証コーディネーター」による支援の取り組みについてみていきましょう。

経営者保証コーディネーターは、

経営者保証ガイドラインの充足状況を確認し、保証解除に向けて金融機関との目線合わせをサポートする専門家で、
各都道府県の事業承継ネットワーク事務局に常駐しています。
具体的な役割としては、「事業承継時判断材料チェックシート」に基づき、
経営者保証ガイドラインの要件充足状況の確認や、経営状況の見える化を行います。
チェックシートによる主要確認項目としては、事業承継計画書、決算書、試算表、資金繰り表などがあげられます。

チェックシートに基づく確認の結果、改善が必要と判断される企業に対しては、
当該企業の要望に応じて既存制度を活用し、チェックシート充足に向けた改善計画を策定するなどといった経営磨き上げ支援を斡旋します。

一方でチェックシートの項目をクリアした企業に対しては、経営者保証解除に向けて、
企業が取引先金融機関と目線合わせ(交渉)を行う際に、
当該企業の要望に応じて目線合わせに同席し支援する専門家の派遣を行います。
専門家の派遣費用は最大支援事業で負担し利用者の負担はありません。

このように、経営者保証コーディネーターは、
法人と経営者の資産・経理の分離状況や適時適切な情報開示などといった
経営者保証解除の可否の判断に資する情報の整理・見える化をサポートすることで、
事業承継時の経営者保証解除に向けた支援を行っているのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)