経理と会計がボトルネックに──若手社長の悩みとは創業5年目、年商約1億円のIT企業。社員10名ほどで堅実に成長してきたものの、資金調達や補助金申請を進める中で、大きな課題に直面していました。それは「税理士が成長スピードに合っていない」という問題でした。「資金繰り表を作ってほしい」「補助金の資料に意見がほしい」──そんな要望を相談しても、返ってくるのは「うちはそこまでは対応していません」「それは社内で検討してください」といった冷たい対応。頼れるはずの専門家が“ただの決算代行業者”に感じられたといいます。税理士変更の決断と、その背景もともと前任の税理士は、社長が創業時に紹介されたベテランの方でした。経験は豊富でしたが、クラウド会計やベンチャー支援の実績は乏しく、やりとりも紙ベースが中心。スピード感が命のIT業界には不向きでした。「創業時にはお世話になったが、今のフェーズには合っていない」そう感じた社長は、複数の税理士と面談を重ね、スタートアップ支援に強く、クラウドツールに精通した税理士に変更する決断をします。税理士を変えて得られた3つの変化税理士を変更してから、経営環境には明らかな変化がありました。その中でも、特に大きな成果となったのが以下の3つです。1. 補助金申請で700万円の資金調達に成功新しい税理士は、補助金の制度に精通しており、申請のサポートだけでなく戦略的なアドバイスも提供してくれました。結果として、IT導入補助金などを活用し、申請から3ヶ月で700万円の補助金交付が決定。これまで資金繰りに苦しんでいた開発部門や採用に予算を充てられるようになりました。2. 月次の資金繰りと損益が「見える化」されたクラウド会計の導入によって、経営数字の可視化が進みました。以前は年に1度の決算書だけが頼りだったところから、毎月の収支が明確に把握できる体制へ。その結果、キャッシュフローの悪化にも早期に気付けるようになり、経営判断のスピードが大きく向上しました。3. 経営視点のアドバイスが増えた新しい税理士は、単なる経理・税務のサポートにとどまらず、経営戦略や組織設計にまで踏み込んだ提案をしてくれました。「役員報酬の設計」「外注化と社員化のバランス」など、リアルな課題に即したアドバイスが増え、社長は「経営の視野が広がった」と感じています。「もっと早く変えればよかった」社長の本音税理士を変える前は、「お世話になった人を切るのは失礼ではないか」と迷いもあったそうです。しかし、実際には引継ぎもスムーズで、新しい税理士との相性の良さもあり、早く決断していればもっと得られるものが多かったと振り返っています。税理士選びは経営戦略の一部税理士は、数字を見るだけの存在ではなく、経営の方向性を左右する重要なパートナーです。特にIT企業やベンチャー企業は、スピード・柔軟性・提案力のある税理士と付き合うことで、大きく成長の方向性が変わります。「税理士は変えるものではない」という固定観念がある方も、一度立ち止まって見直してみてはいかがでしょうか。まとめ|税理士を変えたことが、次のステージへの第一歩に今回の事例は、年商1億円規模の企業でも、税理士を変えることで大きな成果を得られることを示しています。税理士の存在が、経営に与える影響は想像以上です。もし今の顧問税理士に違和感や不満があるなら、それは“成長のサイン”。新たなステージに進むための準備として、税理士との関係を見直してみることをおすすめします。