2024年1月から完全義務化された「電子帳簿保存法(電帳法)」。メールで受け取った請求書を印刷して保存することが原則禁止され、電子データのまま保存しなければならなくなりました。これに対応するために、多くの企業が「AI搭載のクラウド保存システム」を導入しています。しかし、「システムを入れたから、あとは全部AI任せで大丈夫」と思っていませんか?実は、その油断が将来の税務調査で大きなリスクになる可能性があります。今回は、専門家の視点から見た「電帳法対応の落とし穴」と、失敗しないシステムの選び方について解説します。1. AIがやってくれること・やってくれないこと電帳法に対応するためには、保存したデータが「日付・金額・取引先」で検索できる状態(検索要件)でなければなりません。ここでAIが活躍します。PDFの請求書や領収書の画像をアップロードすると、AI-OCRが自動で文字を読み取り、「2024年5月1日」「110,000円」「株式会社Pision」といった情報をタグ付けしてくれます。これにより、人間がいちいちファイル名を変更したり、Excelの管理簿を作ったりする手間から解放されます。しかし、AIはあくまで「文字を読み取るだけ」です。以下の法的リスクまではカバーしてくれません。2. AI任せの法的リスク:ここが危ない!① 誤読による検索要件の不備AIの認識精度は向上していますが、100%ではありません。例えば、請求書の日付が「5/1」と書かれているのを「51日」と誤読したり、合計金額ではなく小計を拾ってしまったりすることがあります。もし税務調査で「この日付のデータを出しなさい」と言われた時に、AIの読み取りミスで検索に引っかからなければ、「保存要件を満たしていない(=青色申告の取り消しリスク)」とみなされる可能性があります。AIが読み取った後は、必ず人間の目で「正しく入力されているか」をチェックするフローが必須です。② 「真実性」の確保電帳法では、データが改ざんされていないことを証明する「真実性の確保」が求められます(タイムスタンプの付与や、訂正削除履歴が残るシステムの利用など)。単にGoogleドライブやDropboxに放り込んでおくだけでは、要件を満たさないケースが多いです。「AIが整理してくれるから」といって、法的な要件を満たしていない汎用ストレージを使っていると危険です。3. 失敗しないシステム選びのコツ:「JIIMA認証」では、数あるシステムの中から何を選べばいいのでしょうか。最も簡単で確実な基準があります。それは、「JIIMA認証(ジーマ認証)」を取得しているかどうかです。JIIMA認証とは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会が、「このソフトは電帳法の法的要件を満たしていますよ」と認めたお墨付きのことです。freee、マネーフォワード、バクラクなどの主要なクラウド会計・経費精算ソフトは、ほぼこの認証を取得しています。逆に、安価だからといって認証のない海外製ツールや、自社開発の簡易システムを使う場合は、自力で要件を満たしているか逐一確認する必要があり、リスクが高いと言えます。4. Pision合同会計事務所の電帳法対応スタンス私たちPision合同会計事務所では、お客様の規模や業種に合わせて最適な電帳法対応システムの導入を支援しています。「高いシステムを入れたけど使いこなせない」「AIの読み取り精度が悪くて逆に手間が増えた」。そんな失敗を防ぐために、私たちは以下の3ステップでサポートします。現状分析: どのような書類が、どれくらいの量発生しているかを確認ツール選定: JIIMA認証済みの中から、最もコスパの良いツールを選定運用ルール策定: 「誰がアップロードし、誰がAIの誤読をチェックするか」のフロー構築電帳法は「守りのDX」ですが、正しく導入すれば書類探しの時間がゼロになる「攻めの武器」にもなります。法的リスクを回避しつつ、業務効率化を実現したい方は、ぜひ一度ご相談ください。