税金、税務調査の話になると、
謎の情報通の人が現れこのような話や”コンサル”してくることがあります。
「こうすればバレない」
「こうやって経費を作る」
「私はこうやって全然平気だった」

このような謎の人物やこ情報になびくことが危険だというお話をご紹介します。

・副業、フリーランス、社長の周りにいる謎の”税金通の友人”
・税務調査官はどこまで見ているか?
・税務調査における「こうやっておけば大丈夫」のとらえ方について

 

副業、フリーランス、社長の周りにいる謎の”税金通の友人”

謎の人物について

会計事務所のお客様やお客様になる前の段階の事前面談で
「こうすると節税になると聞いたが」
「友人がこうしたらといっていた」

「友人に相談した結果、こうします」
という話を聞くことがあります。

この謎の”友人”は、とても耳障りの良い、お得な話を持ち掛けます。
たまにそれを仕事にしているような人もいます。

専門家からすると

税理士に限らず、どの職業でも仕事として成り立つまでには相当な研鑽と経験を積んでいます。
また、専門的な助言を行う際、0から100まで説明すると
とんでもないことになってしまうので、話す内容をあらかじめ絞ることがあります。

例えば、お客さんが「Bの部品が欲しい」と言ったとします。
気が利く店員さんであればその質問に対して、「何が目的ですか?」と聞き、
”B-1からB-10まで商品があるが、一番合うのはB-3とB-4かな”
”予算的にはB-3からB-6を見比べさせた方が良いかな”
”自分で組み立てるなら組み立てやすいB-1も進めるか”
”Cの部品も有用なので説明しておくか”
といったことを瞬時に考え、必要十分な

是非皆様のお仕事、専門分野について、
素人が「こういう風に聞いたことがあるのですが」と

言っていることを想像してみてください。

税理士からしても「大事なお客様に無責任なことを言わないでほしい」あるいは、
あまりにしつこい場合には「その友人に頼んだらどうですか?」となります。

謎の人物の危険性

この”友人”が体験したことについては、2つの危険性が指摘できます。

①その経験は本当か
まず、その話は本当に事実かどうかです。
人はお金のことをあまり人に話しません。
そもそも作り話、盛っている可能性も否定できません。

また、税金はかなり複雑です。
例えば食事代1件をとっても、経費or否認という結論は2つに一つであっても、
その過程は千差万別です。
体験が事実だったとしても、誤った解釈で
「これならセーフ」と誤解して、吹聴することを真に受けてはいけません。

②その経験はたまたまの可能性がある
税務調査官はとても勉強熱心で、
基本的に人に嫌がられ続ける一生を続けながらも、税負担の公平を目指して頑張っている公務員です。
しかし、人間である以上、経験の差、能力の差、体力の差、モチベーションなど様々な要因から、
あるいはその会社でほかに否認すべきものが膨大にある場合などは、小さな不正がスルーされてしまうことも
あり得ます。

このたまたまの経験を持って、他人や他社に対して経験談を語り、聞いたほうが真に受けてしまうことは危険です。

よく言われる例えですが、「ただ捕まっていないだけのスピード違反」のようなものです。
飲酒運転でも、50キロ超過でも、警察署の前を通っても、たまたま捕まらないことはあり得ます。

税務調査官はどこまで見ているか?

友人間での話だけならまだしも、SNS上でこのような話を吹聴する人がいます。

筆者も元税務調査官の方のお話や税務調査の場で、調査官の方がどこから情報を取得しているか
垣間見る機会があります。

当然Twitter、FacebookなどのSNSやブログなどは見られているのです。

逆にこのような状況や情報に警鐘を鳴らす元調査官や専門家の方々もいらっしゃいます。

しかし、人間は確証バイアスがかかりますので、なかなかそのような傾向の人の目には入りません。

「税金を安くしたい」
「バレない方法を知りたい」
「うまくやってくれる人を探している」
というときに、耳障りの言い話は入りますが、
厳しい可能性(リスク)には目が向かない、ということです。

 

税務調査における「こうやっておけば大丈夫」のとらえ方について

以上のことから、”友人”の話については、参考までに捉えることをお勧めします。
税理士でさえ、法律以外は、裁判例であっても参考にします。
全く違うケースだからです。

そして、参考にするときに大事なのは結論よりも「こういう理由でセーフだった」という過程、根拠だと思います。

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