事業承継についてのシリーズです。
(過去 Vol.1

今回は現社長が後継者に求める条件についての記事です。

私たち税理士の経験や実務、研修の中で培ってきたTipsを紹介できればと思います。

・後継者選定が難しい理由
・後継者に求める条件の例
・本当に必要な後継者の条件
・最後に

後継者選定が難しい理由

事業承継を検討している中小企業の社長や中小企業にとって、一番のネックはやはり
その後継者自体がいないこと。

実際にデータを見ても後継者不足から廃業を選択する企業も多数あります。
一方で、端からから見ていると後継者としてふさわしいと思しき方がいる企業もあります。

つまり、後継者自体がいないのではなく現社長の御眼鏡に適う後継者がいない
ということになります。

後継者に求める条件の例

現社長は、自らが海千山千、汗と涙を流した経験から、
かなり求めるものが多いです。

・技術力、営業力、管理能力
・金銭感覚、数字の感覚
・倫理観
・人望
・稼ぐ力
・変化に対応する力
・打開する力

…等々、枚挙にいとまがありません。

 

本当に必要な後継者の条件

しかし、そのような方はいません。

私たちがお勧めするのは、次の2つです。

1、その中で”その会社にとって”重要な1つの条件(最大3つ)に絞ること

社長に必要な条件や資質を問うと、必ず何個も何個も挙げられます。
それは経験に基づくものであり全く間違いではありません。

しかし、それはあくまでも現社長の人生に基づくものであり、
挙げろと言われればいくらでも挙げられてしまいます。

そこで、いったん思いつく限りすべて挙げてもらってから、
全ての根底になっている一つの資質に絞ります。

そうすると、例えば、

・真面目、勤勉であること
・人に好かれる性格、ふるまいであること
・誠実であること
・圧倒的な能力(技術、営業、管理等々)があること

くらいに絞られることがあります。

要するに、枝葉ではなく幹となる資質は何かを見極める作業を行うことが重要です。

 

2、後で身に着けられる能力はどれか、を仕分けすること

また、1.のような作業を行うためには、
「社長になってからしかわからないこと」
「創業者しかわからないこと」
「あとで徐々に身に着けることができること」
「勉強、研修などで身に着けるべきこと」
などに分けていくことができます。

このように条件を仕分けすることにより、「今の時点で後継者としてOK」が出せる方が
見つけやすくなったり、「あとでどのような帝王学、どのように学び、経験してもらうか」
という計画に落とし込める作用もあります。

最後に

数々の相続、事業承継の場面を見てきた限り、上述のようなテクニカルな面のほかに、
現社長の考え方としてセットしたいことがあります。
それは、

・自分と同じ人間はいない

ということと

・次の世代に必要な能力は別

ということです。

過去や現在の会社ではなく、未来の会社にとって必要な後継者はだれか、という観点を持つことが
様々な面で効いてきます。

バトンタッチ