弊所ではクラウド会計システム(マネーフォワード及びfreee)のみを使っています。
理由は、いろいろな理由で「動きやすい」からです。

しかし、クラウドサービス、サブスクリプション型のサービスの利用をためらう一因として、
「いつの間にか仕様が変わってる、料金が変わっていく」こともあるのも現実。

今回はクラウド会計のメリット・デメリットについて、弊所の独断と偏見に基づいて簡単にご紹介し、
これからクラウド会計に乗り換えようとされている方の後押しとなれば幸いです。

・クラウド会計のメリット

・クラウド会計のデメリット

・クラウド会計のデメリットを打開する方法

 

クラウド会計のメリット

いくつかメリットがありますが、クライアント側にとってのメリットだと思われる点をご紹介します。

①自社で帳簿を付けていなくても、いつでも帳簿が見れる

中小企業の場合には、自社内に経理担当者はいても、帳簿の作成は外部の会計事務所に委託している会社も多いと思います。
弊所にご相談に来られるお客様の声で多いものの一つが「今の会計事務所は試算表を出してほしいといってもしばらく出してくれない」
というもの。
お客様のご意見なのでどれくらいで遅いのかはまちまちですが、よく聞かれるご意見です。

クラウド会計の場合には、端末を問わず帳簿確認ができますので、一度試算表の見方を教われば、
自社でもいつでもどこでも試算表の確認、印刷等が可能です。

(この場合、試算表の対象月までの帳簿記帳ができていなければ別の課題です)

②資料の提供が楽

会計事務所へ帳簿記帳を委託している場合でも、帳簿のチェックのみを依頼している場合でも、
会計の基となる資料との突き合わせながらの確認作業が必要になります。

その場合、従来ならば、通帳のコピーから領収書まで紙で印刷orPDF等を揃えて提出する必要があるかと思います。
その点クラウド会計であれば、銀行データ等は自動取り込み、細かい仕訳の領収書は画像データが仕訳にくっついる、
という具合で、会計事務所とクライアントの双方の手間が劇的に減ります。

会計事務所とクライアントとの取り決めなどにもよると思いますが、資料のやり取りが減ることは間違いないでしょう。

③乗り換えやすい

自社のステージや要望が変わってきたため、会計事務所や顧問税理士を変更したくなった時、
そのことをつたることは物理的、心理的なハードルになることもあります。

特に、(よくないことですが)申告書はもらっているが、帳簿(総勘定元帳など)をもらっていない場合です。
そのようなときでも、クラウド会計システムであれば、いつでも帳簿にアクセスが可能なため、
ダウンロードしておけばいいし、自社で契約していれば帳簿はすべて自社のモノですので、安心です。

また、新しい会計事務所にとっても、帳簿を見てみないとニーズにあったサービスが提供できるか不明なところがありますが、
このようなクラウド会計システムであれば、メンバーに一定期間招待してもらえれば、
契約締結前に詳細な検討や見積もりが可能になります。

どうしても経済的問題に目が行きがちですが、総じて、トータルコストが下がる、というのがメリットといえるでしょう

クラウド会計のデメリット

一方で当然デメリットもあります。これもクライアント側に絞ってご紹介します。

①料金の改定、複雑化が進みやすい

従来のスタンドアロン型(PCにインストールして、そのPCやネットワークのみで使えるもの)に比べて、
クラウド会計ソフトは、軸足が「会計」に置かれておらず、「バックオフィスの効率化」などに置かれています。

この軸足の違いから、会計ソフト自体の使いやすさや安定性のみならず、他のシステムとの連携などに力を入れているように見えます。

そのため、料金がどんどん変わっていったり、対応するシステムが増減することによって、契約形態がわかりにくかったりします。

②インターネットブラウザを使用するためちょっと遅かったり、システム不具合がある

これはクラウド会計黎明期から言われていた点ですが、インストール型に比べて、動きが遅いです。
また、年末や3月末、5月末など、ほぼすべての会社が忙しくなる時には特に、サーバーやらなんやらのシステム不都合で
サービスが止まることがしばしばあります。

③使い勝手が変わる

クラウド会計のメリットである自動仕訳等の機能について、金融機関等の問題なのか、システムベンダー側の問題なのかわかりませんが、
自動連携がなくなることがあります。

2022年にも楽天銀行とfreeeの自動連携がなくなるという知らせを受け、楽天銀行やfreeeからの撤退や不満が増えています。

自動連携のメリットをうたってユーザーを取り込み、その後自動連携ができなくなるのは非常に困ります。
クラウド会計を推進した担当者も立場がないことでしょう。
次に乗り換えた後は二度と同じサービスを使うことがなくなると思います。

このような点は、「変わらないことが効率的だという会計システムの側面」が理解されていないように思えます。

クラウド会計のデメリットを打開する方法

では、なぜそれでもクラウド会計を使うのか、また、デメリットに対してはどのように対処したらいいか、を弊所の例を通してご紹介します。

①それでもメリットの方が大きい

料金改定、自動連携の一部停止、機能不全など従来型にはなかった多々ある問題ですが、それを上回るメリットがあるから弊所では使っています。
例えば、料金改定といっても月1000円アップしたところで、従業員さんや会計事務所の作業はもっと削減されているからです。

また、自動連携の一部停止があっても、csvからの簡単な取り込みでの対応も可能です。

機能不全に対しても、余裕をもって対応していれば、数日使えなくなっても平気です。

②デメリットには慣れ!期待せず、準備しておく

また、デメリットに対しては、上記のような具体的な対応のほか、心の準備と依存しない体制、バックオフィス作りが重要です。

他のクラウドサービス等を見ても、うまく使いこなしている企業を見ても、

「それぞれのシステムの使いやすいところを使いやすいように使う」

ことが前提になっています。

クラウドシステムは変わるもの
一つのクラウドシステムに依存しすぎないこと
これからは常に変わることができる仕事の仕方が大事

という心がけ、具体的な準備が重要だと考えられます。