世の中には、ヒットが期待されたものの、普及に至らずくすぶっている商品が多くあります。

ただ、このまま消えると思われていたものの中には、
新型コロナウイルスの感染防止の影響で普及の兆しが見えたものもあります。
その一つがスマートグラスと呼ばれるメガネ型端末です。
これは、メガネの形をしたウェアラブル(身につける)ハイテク機器で、メガネと同様、頭部(眼の部分)に取り付けて使用します。

一見、メガネに見えますが、

身につけると、PCやスマホの画面と同じようにメガネのグラス部分に画像などが映し出されます。
利用者は音声で操作し、ネットの閲覧のほか、アプリの起動やオンラインでの会議などができます。
メガネ型なので、両手を自由に使いながら、離れた人と話ができる点が特徴です。

スマートグラスが注目されるきっかけはコロナ禍にあります。

昨今、感染拡大防止のため、テレワークが推奨されています。
が、工場での作業はテレワークが難しいとされています。
ところが、スマートグラスのオンライン会議の機能を利用すると、
作業者は両手が自由に使えるので作業をしながら熟練工と会話ができます。

熟練工は映像や手書き画像を作業者と共有しながら、音声通話機能を使って作業を支援できます。
離れた場所で作業者の仕事を見ながら指示を出すこともできます。
作業する当事者は現場で仕事をしなければなりませんが、熟練工など、
指示を出す人はスマートグラスを利用することで、難しいとされていたテレワークが可能になります
自動車や製菓など、多くのメーカーがテレワークを導入したこともあり、スマートグラスの需要が高まる兆しが出ています。

また、海外では、警備員が入場者の体温を測定するといった利用もされています。

ただ、発売当初、スマートグラスは多くの問題を抱えていました。
2013年、グーグルはスマートグラスを発売し注目を集めました。
ところが、値段が1500ドル(当時1ドル100円で換算=15万円)と高価だったため普及には至りませんでした。
加え、かさばって重たいといった使い勝手に関する問題も普及が進まなかった要因になりました。

そして、最も大きな問題となったのがプライバシーの侵害です。

スマートグラスにはカメラの撮影機能があります。
たとえば、レストランに入店し他の客の顔を相手に気づかれないように撮影することもできます。
加え、顔認識機能のアプリを利用すれば、相手のプロフィールを検索することも可能です。
「だれかに撮影されているかもしれない」と思ったら安心して食事もできません。
米国のレストランではスマートグラスを着用した人が入店を断られる事例が発生しました。
そして、2015年、グーグルはスマートグラスの販売を中止しました。

コロナ禍で再び注目を集めるスマートグラス。
今回は、工場での作業など、ビジネスユースが中心なので、プライバシーに関する事項は問題になりにくいと考えられます。
また、価格は現在約6万2000円まで下がっています。
加え、新規光学素子の開発により、小型化や軽量化が実現できるようになりました。
今後、普及が加速するかどうか、注目したいところです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)