◆優遇税制としての節税制度

即時償却を含む特別償却と税額控除とが選択適用となっているものは幾つもあります。

例えば、昨年の税制改正で2年間の期間延長された中小企業者等の
特定経営力向上設備等取得における税制優遇制度においては、
即時償却か税額控除かのいずれかの選択が認められています。

即時償却は、購入資産の事業供用時に取得価額全額を減価償却するというものです。

他方、税額控除は、通常の減価償却を行う外、特定経営力向上設備等取得の制度では10%の税額控除が認められています。

◆節税額の多寡で判断すれば

即時償却と税額控除との選択においては、税額控除が選択されるケースが多いと思われます。

優遇税制としての即時償却は課税の免除や非課税ということではなく課税の繰り延べにすぎないのに対して、
税額控除は純粋の課税免除だからです。減価償却という費用計上による税額の減少の外に、
特典的に税額の減少が認められるので、税額減少額総額は税額控除の方が多いからです。

◆経営効率から判断すれば

ただし、それは減価償却耐用年数期間全体を通しての話で、
取得からの早い時期での耐用年数期間に於いては、即時償却の方が税額減少額の総額が多くなります

即時償却に於いては、当初での税額減少効果が大きく、投資資金の早期回収効果、
資金繰り効果、キャッシュフローの割引現在価値効果による有利性が認められます。

また、税額控除の場合、実際に控除できるのは、その償却資産取得期の法人税の20%を上限とするという制限があるので、
認められている10%の控除額の一部しか適用にならない、ということになることもあります。

◆リスクヘッジで判断すれば

投資リスクを考慮すると、税額控除よりも即時償却の方に軍配を挙げるべき、という考えを無視できません。

リーマンショックの時は、売り上げが何分の1かになってしまい、
経営の回復に何年もかかった、という企業は少なくありませんでした。
そして今また、新型コロナウィルスショックが起き、日本経済も世界経済も急激な減速局面に入っています。
その沈静化の予測は当面付きそうにありません。

こういう局面こそ、即時償却か税額控除かの選択判断で、投資リスク回避を中心に据える時なのかもしれません。

 

財務省は、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置を公表しました。

それによりますと、新型コロナウイルス感染症のわが国社会経済に与える影響が甚大なものであることに鑑み、
感染症及びその蔓延防止のための措置の影響により厳しい状況に置かれている納税者に対し、
緊急に必要な税制上の措置を講ずるとしております。

同措置の特例は、

イベントの自粛要請や入国制限措置など、
新型コロナ感染拡大防止のための措置に起因して多くの事業者の収入が急減しているという状況を踏まえ、
収入に相当の減少があった事業者の国税・地方税及び社会保険料について、
無担保かつ延滞税なしで1年間納付を猶予する特例を設けるとしております。

また、資本金1億円超10億円以下の企業に生じた欠損金について、
欠損金の繰戻しによる法人税等の還付制度の適用を可能とするとしております。

なお、具体的な国税における措置としては、

①納税の猶予制度の特例

②欠損金の繰戻しによる還付の特例

③テレワーク等のための中小企業の設備投資税制

④文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対する払戻請求権を放棄した観客等への寄附金控除の適用

⑤住宅ローン控除の適用要件の弾力化

⑥消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例

⑦特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税があります。

上記の1年間納付を猶予する特例は、

基本的に全ての税目が対象(印紙で納付する印紙税等は除く)となり、
2020年2月1日から2021年1月31日までに納期限が到来する国税について適用します。

その際、施行日前に納期限が到来している国税についても遡及適用でき、
2020年2月から納期限までの一定の期間(1ヵ月以上)において、
収入が大幅に減少(前年同期比概ね20%以上の減)した場合について1年間納税を猶予します。

現在、中小企業のみに認められている青色欠損金の繰戻しによる還付の特例は、

資本金1億円超10億円以下のいわゆる中堅企業についても、
2020年2月1日から2022年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金に適用できます。

 今後の動向に注目です。

(注意)
上記の記載内容は、令和2年5月1日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、
記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

ウイルス

◆新型コロナの緊急経済対策が閣議決定

令和2年4月の閣議決定において、コロナショックが社会経済に与える影響が甚大であることから、
緊急対策として税制措置が講じられることになりました。

1.納税猶予の特例(すべての国税)

イベントの自粛要請や入国制限措置など、感染防止措置により多くの事業者の収入が急減している状況を踏まえ、
すべての国税(印紙税を除く)につき1年間納税を猶予する特例が設けられました
(適用:令和2年2月1日~令和3年1月31日納期到来分)。

2.欠損金の繰戻還付の特例(法人税)

中小企業に認められている青色欠損金の繰戻し還付について、
中堅企業(資本金1億円超10億円以下の法人)にも適用可能となりました
(適用:令和2年2月1日~令和4年1月31日終了事業年度に生じた欠損金)。

3.中小企業設備投資税制(法人・所得税)

中小企業設備投資税制の対象となる特定経営力向上設備等の範囲に、
テレワーク等のための一定の設備投資が追加されました(適用:令和3年3月31日まで)。

4.寄附金控除の特例(所得税)

政府の自粛要請を踏まえて中止された文化芸術・スポーツイベントの入場料について、
観客が払戻しを放棄した場合には、その放棄した金額が寄附金控除(所得控除・税額控除)の対象とされました
(適用:令和2年2月1日~令和3年1月31日に国内で開催する予定で中止されたイベント)。

5.住宅ローン控除要件弾力化(所得税)

新型コロナの影響により、住宅建設が遅延した場合に、その住宅に令和2年末までに入居できなかったときでも、
一定のケースには、控除期間が13年に延長された住宅ローン控除が適用されることとなりました。

6.課税事業者選択届出書の特例(消費税)

新型コロナの影響により、事業者の一定期間(1か月以上)の売上げが著しく減少した場合、
課税期間開始後における課税選択の申請を認めることとしました
(2年間の継続適用ルールに関係なく、翌課税期間の取り止めも可能となりました)。

ウイルス

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で発生した損失は、
2年前までに納めた法人税額の範囲で還付を受けられる「災害損失欠損金の繰戻還付」の対象となります

そのため、休業要請に応じたことで食材の廃棄損が生じた飲食業者や、
イベントの中止で商品の廃棄損が生じた事業者は、繰戻還付の適用の検討を忘れないようにしたいところです。

災害損失欠損金の繰戻還付とは、

災害時に発生した欠損金について、
事業年度開始前の2事業年度(白色申告は1事業年度)分の法人税について還付を受けることができる特例

新型コロナに関する支出で制度の対象となるのは、

飲食業者の食材の廃棄損やイベント業者の商品の廃棄損、
感染防止のためのマスク・消毒液の購入費用、感染者の発覚で廃棄処分した器具備品等の除却損などとなっています。

なお欠損金の繰戻還付は通常は資本金1億円以下の中小企業しか適用できませんが、
今年2月から2022年1月までに終了する事業年度に生じた欠損金に限っては、
資本金1億円超10億円以下の法人でも還付対象とすることが認められています。
新型コロナの影響で多くの事業者が被害を受けていることを踏まえた特例措置です。

<情報提供:エヌピー通信社>

申告書

◆雇用調整助成金とは?

雇用調整助成金については、添付書類が多くて手続きが煩雑、
中小企業が独自で申請するのは困難などと報道されています。

雇用調整助成金とは、災害などの影響により経済活動が大きく縮小した場合、
雇用を維持した企業が社員に支払った休業手当の一部を、雇用保険会計から国が企業へ助成する制度です。

これまでも、東日本大震災、リーマンショック、大型台風の際に活用されています。

今回の特例では、支給率が中小企業は4/5(解雇等なしは9/10、60%超部分は10/10)にアップしています。

◆助成額と社員に支払う休業手当は異なる

誤解が多いのですが、会社が社員に支払う休業手当の額と、
会社が国から助成を受ける金額のベースは算定方法が異なるためイコールにはなりません

会社が社員に支払う休業手当は、

下記①の平均賃金の60%以上であることが必要です(労働基準法26条)。
直近3か月の賃金総額÷総歴日数=①

一方、会社が国から受給する助成額は、

前年度の雇用保険料の算定基礎となる賃金総額を前年度各月末の雇用保険被保険者数平均で除し
さらに1人あたり平均所定労働日数で除すことで、1人1日あたりの平均賃金相当額②を算出します。
会社が休業手当①の60%を支払っていれば、
②の60%(100%払っていれば100%)に支給率を掛けた金額が、
日額8,330円を上限に支給されるという計算方法となっています。

◆制度の運用が日々変更されているので注意

本来、休業計画策定→労使協定締結→休業計画提出→休業→支給申請の流れですが、
今回は先に休業していても、計画の提出は6月末までの事後提出が認められています。

また、感染防止の観点から書類は窓口持参よりも郵便による提出が推奨され、
近々電子申請による受付も開始されるようです。

厚生労働省ホームページでは、雇用調整助成金ガイドブックやFAQなどが日々更新されています。
最新情報を入手して、申請されることをお勧めします。

お金

◆持続化給付金とは

新型コロナウイルスの感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者に対して、
事業の継続を下支えし、再起の糧とするために、事業全般に広く使えることを目的とする給付金です。

支給額は最大で法人は200万円、個人事業主は100万円です。昨年1年間の売上からの減少分を上限とします。
◎売上減少分の計算方法
 前年の総売上(事業収入)-(前年同月比でマイナス50%月の売上×12か月)

◆支給対象

新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高が前年同月比で50%以上減少している者が対象となります。

法人は資本金10億円未満であることです。
つまり、中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者なら活用できます。
また、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人についても幅広く対象となります。

◆申請方法

持続化給付金の申請手順は下記のとおりとなります。

①持続化給付金のホームページへアクセス
②申請ボタンを押して、メールアドレスなどを入力
③入力したメールアドレスに、メールが届いていることを確認して本登録
④IDとパスワードを入力するとマイページが作成されます。そこに基本情報、売上額、口座情報を入力します。
⑤必要書類を添付
・2019年の確定申告書の控え
・売上減少となった月の売上台帳の写し
・身分証明書の写し(個人事業主)
※スマホの写真画像でもOKです(できるだけきれいに撮ってください)
 その後は持続化給付金事務局で申請内容を確認した後に、2週間程度で給付通知書を発送し、登録の口座に入金予定です。

 必要とされる方に幅広く活用できるように2兆円を超える予算が組まれています。
 2019年に創業した方や、一定期間に偏在している方には特例があります。
また、一度給付を受けた方は、再度給付申請することができないのでご注意ください。

 

お金

新型コロナウイルス感染症に関連する補助金や助成金のうち、比較的利用しやすい個人向けのものをご紹介します。

◆特別定額給付金

給付対象者は、基準日(令和2年4月27日)において、
住民基本台帳に記録されている者で、給付対象者1人につき10万円が給付されます。

◆傷病手当金など

被保険者が業務災害以外の理由により新型コロナウイルス感染症に感染している場合には、
他の疾病に罹患している場合と同様に傷病手当金が支給されます。
また、業務に起因して感染したものであると認められる場合には、傷病手当金ではなく、労災保険給付の対象となります。

◆休業手当など

使用者の都合による休業の場合、使用者は、休業手当を支払わなければならないところですが、
労働基準法上の休業手当の要否にかかわらず、経済上の理由により
事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が休業手当を支払った場合、
雇用調整助成金として一部が事業主に助成されます。

また、子供の臨時休校により仕事を休まざるを得なくなった保護者ために、
休みの間の給与を助成する制度もできました。フリーランスで働く人のための支援金もあります。

◆国民年金・国民健康保険料(税)の減免

令和2年5月1日から新型コロナウイルスの感染症の影響により国民年金保険料の納付が
困難となった場合の臨時特例手続きが開始されています。国民健康保険料についても地方自治体が条例等により減免を行います。

◆住居確保給付金

離職や休業などで収入が減り、家賃を払えない人には、
地方自治体が家賃を補助する「住居確保給付金」という制度があります。今回、従来より要件が緩和されました。

◆修学支援新制度

家計が急変した学生には、授業料の減免や、給付型の奨学金が支給される「修学支援新制度」があります。
各学校の奨学金窓口に相談してみましょう。

◆Q&Aで助成金の課税・非課税を例示

国や地方公共団体は、新型コロナウイルス禍に関連し、
様々な融資制度や補助金・助成金等の取組みを行っていますが、
国税庁「Q&A」(問9)に、その助成金等の個人課税(所得税)の取扱いが示されています。

◆「非課税」の明文規定があるか?ないか?

「税法」や「その他法令」の中に非課税の明文規定があるものは、課税されません。

1.所得税法の非課税

①東京都認証保育所の保育料助成金
企業主導型ベビーシッター利用助成の割引券 (令和2年3月休校の特例措置分120枚まで。最大26万4,000円)など

2.租税特別措置法の非課税

①簡素な給付措置(臨時福祉給付金
子育て世帯臨時特例給付金
③年金生活者等支援臨時福祉給付金

3.税法以外の法令で非課税と規定

①雇用保険の失業等給付(雇用保険法)
生活保護の保護金品(生活保護法)
③児童(扶養)手当(児童手当法など)
被災者生活再建支援金(同再建法)
特別定額給付金(新型コロナ特措法)
子育て世帯への臨時特別給付金(同)

◆課税されるものは事業・一時・雑に区分

法令で非課税規定がないものは、残念ながら所得税が課税対象となります。

1.事業所得等に区分されるもの

業務に関連して、収入補償や人件費補填を目的として支給されるものは、事業所得の収入金額となります。
(今回コロナ関連で創設された助成金)。
①小学校休業等対応助成金
②小学校休業等対応支援金
③雇用調整助成金
④持続化給付金
⑤感染拡大防止協力金(東京都)など

①~③は、収入と費用の両建てとなり、実質所得はゼロとなります。

2.一時所得に区分されるもの

臨時的に所得水準が下がった方に対する一時支給は一時所得となります。(特別控除50万円以下は課税されません

①すまい給付金
②地域振興券

3. 雑所得に区分されるもの(1・2以外)

企業主導型ベビーシッター利用助成の割引券(特例措置分以外・通常時のもの)

 

◆生産性革命推進事業とは

令和元年度の補正で予算措置された事業で、いわゆる
「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」を指し、総額3,600億円の予算がついています。
今回の新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるため、令和2年度の補正予算として特別枠を設け、新たに700億円が追加される見込みです。

◆影響を受けた事業者への特例措置

特例措置は下記の3点です。

①特別枠で優遇されます

新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者への支援内容を拡充します。

②申請要件が緩和されます

ものづくり補助において、付加価値額や給与支給総額、
事業場内最低賃金といった事業計画内の目標値の達成時期が1年間猶予されます。

③遡及適用されます

交付決定日前に発注した事業に要する経費についても対象となります

◆各補助事業の拡充の内容

①ものづくり補助金

中小企業等が感染症の影響を乗り切るための、新製品・サービス・生産プロセスの改善に
必要な設備投資等の支援について、補助率が1/2から2/3へ引き上げとなる予定です。

②小規模事業者持続化補助金

小規模事業者等が感染症の影響を乗り越えるために、経営計画を策定して取り組む
販路拡大等の取り組みについて、補助上限が50万円から100万円へ引き上げとなる予定です。

③IT導入補助金

中小企業等が感染症の影響を乗り越えるための、ハードウェア(PC、タブレット端末等)
のレンタルも含めたITツール導入について補助率が1/2から2/3へ引き上げとなる予定です。

※令和2年度の補正予算の成立を前提としています。事業内容は変更される場合があります。
事業の詳細は決定次第、経済産業省のHPで公表されます。

 

◆小規模事業者対策として

小規模事業者には自社の商品を宣伝しブランド力を高めるといった共通の課題があります。
しかし自社努力だけではなかなか解決できません。
そんな事業者に最適な補助金で、地域の商工会議所や商工会の助言を受けながら計画を策定します。
その計画に沿った販路開拓や業務効率に取り組めば費用の2/3が補助されます。補助上限は50万円です。

◆応募の要件

商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く)は常時使用する従業員の数5人以下で、
サービス業のうち宿泊業・娯楽業と製造業その他の業種は常時使用する従業員の数20人以下がそれぞれ要件となります。
また、持続的な経営に向けた経営計画を策定していることが応募の前提となります。

事業計画期間において「給与支給総額が年率平均1.5%以上向上」、
事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上」を満たすことが加点要件になっています。

産業競争力強化法に基づく「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」
を受けた小規模事業者については、補助上限額が100万円に引き上がります。

◆どんな取り組みが対象になるの?

販路開拓の取り組みとして、飲食店が売り上げを伸ばすために
インバウンド向けの英語表記のメニューやのぼりの作成が考えられます。
また、宿泊業者が外国人向けのwebサイト作成にも活用できます。

業務効率の取り組みとして、POSレジの導入や経理会計ソフトを購入することにより、
販売管理業務や決算業務の効率化することも可能です。
ただし、公序良俗に反するおそれや、公的な支援を行うことが適当でないと認められるものは対象外となります。

応募の手続きは従来の郵送方式のほかに、
政府が開発した統一的な補助金申請システム(名称:Jグランツ)による電子申請の利用が可能です。

令和2年度は6/5、10/2、2/5がそれぞれ締め切り日となっています。
そのため、自社の必要な時に必要なタイミングで申請をすることが可能です。
用途は幅広くありますので、該当事業者は活用の検討をお勧めします。