◆日本商工会議所アンケートより

昨年8月に日本商工会議所が全国会員企業14,221件を対象に行った
「事業承継と事業再編・統合の実態に関するアンケート」(回答4,140件)により、
事業承継について次のように実態がまとまりました。

事業承継を軸にコロナ禍の影響がどう出ているのか尋ねる内容となりました。

会員企業の後継者の決定状況は「経営者年齢が60歳以上の企業」で約半数が決定済みの一方、後継者不在の企業が2割を占めています。
同族経営が8割と多数を占めるものの中小企業で親族外承継も徐々に増加しており、2000年代は約1割、2010年以降では約2割となりました。

この調査では、事業承継の時期について、
コロナ禍の影響で売上げが減少している企業ほど事業承継予定時期を後ろ倒しにする傾向があることがわかりました。
また、経営者の在任期間別の利益状況を見ると「社長就任後10年未満の企業」の6割の企業がコロナ禍においても直近期黒字の一方で、
「社長就任後30年以上の企業」はコロナ禍を受けて赤字を見込む割合が大きく、
事業承継によって経営を活性化している企業がコロナ禍においても業績を上げている傾向があることがわかります。

◆事業承継の問題点

事業承継の問題点は「後継者への株の譲渡」が最も多く3割を占めています。
課題・障害は「譲渡側は譲渡の際の相続税、贈与税が高い、後継者側は買取資金がない」
と税制面と資金面問題で6割~7割を占めています。

◆事業再編・統合(M&A)

M&Aにおいては「過去に買収を実施・検討した企業」は約15%、
それを「売上高10億円超の企業」に絞ると「買収を実施・検討した企業」は約4割を占めています。

買収先は後継者難が深刻化している小規模企業(従業員20名以下)が約7割を占めており、
M&Aが後継者不在企業の事業継続の受け皿となっていることがわかります。
買収目的は「売上・市場の拡大」7割、「事業エリアの拡大」4割が多く、目的、
期待効果の達成度も約半数が「達した」とする等、中小企業の事業拡大にM&Aが功を奏していることがうかがえます。

 

中小企業庁では、

2020年6月の産業競争力強化法の改正に伴い、これまで第三者承継支援を行っていた「事業引継ぎ支援センター」に、
親族内承継支援を行っていた 「事業承継ネットワーク」の機能を統合し、
事業承継・引継ぎのワンストップ支援を行うべく発展的に改組し、
2021年4月以降各都道府県において事業承継・引継ぎ支援センターとして活動を開始しました。

事業引継ぎ支援センターは、

後継者不在に悩む中小企業・小規模事業者に対して、第三者への承継(引継ぎ)を支援するために、
2011年度に7か所設置されることでスタートしました。
その後、各都道府県に設置され、2016年度には全都道府県に設置されました。
事業引継ぎ支援センターでは後継者不在の中小企業・小規模事業者と譲受を希望する事業者とのマッチングを支援するとともに、
とくに後継者不在の小規模事業者と創業希望者とのマッチングを支援する後継者人材バンク事業の運営を行ってきました。

事業承継ネットワークは、

地域の支援者同士が個別企業支援で連携できる地域プラットフォームを確立し、
事業承継に向けた気付きの機会を提供することを目的として、2017年度より都道府県単位で、
商工会・商工会議所、金融機関などを構成機関として構築されました。
同ネットワークでは事業承継診断を起点としたプッシュ型の支援に連携して取り組むとともに、
地域の専門家と連携して踏み込んだ事業承継支援を行ってきました。

これらの両機関を事業承継・引継ぎ支援センターとして統合することで、

事業承継・引継ぎのワンストップ支援を行うことが可能となり、
親族内承継や第三者承継(M&A)などの幅広い相談により柔軟に対応することが期待されるのです。

では、統合後の事業承継・引継ぎ支援センターにはどのような役割が期待されているのでしょうか。

一つ目の役割としては、事業承継に関するニーズの掘り起こしです。
事業承継・引継ぎ支援センターでは、承継コーディネーターを責任者とし、
経営者にとって身近な支援機関等による支援のためのネットワークを構築します。
そして、ネットワークの構成機関にてプッシュ型の事業承継診断を実施し、
経営者の課題や事業承継支援ニーズを掘り起こします。

また、エリア毎にエリアコーディネーターを配置し、エリア内の構成機関が実施するプッシュ型事業承継診断をサポートするとともに、
構成機関が掘り起こした支援ニーズ先の課題を整理し、承継コーディネーターを経由して課題に応じた支援担当につなげていきます。

二つ目の役割としては、ニーズを掘り起こした企業に対する事業承継支援です。
後継者不在先は第三者承継支援担当が民間M&A仲介業者などの登録機関等を活用してマッチングの支援を行います。
親族内への事業承継希望先は親族内承継支援担当が外部専門家を活用した事業承継計画作成支援等などの支援を行います。
事業承継時の経営者保証に課題がある場合は、経営者保証業務担当が外部専門家を活用した支援を行います。

このような役割に基づき、事業承継・引継ぎ支援センターでは
①事業承継・引継ぎ(親族内・第三者)に関する相談対応、
②事業承継診断による事業承継・引継ぎに向けた課題の抽出、
③事業承継を進めるための事業承継計画の策定、
④事業引継ぎにおける譲受/譲渡企業を見つけるためのマッチング支援、
⑤経営者保証解除に向けた専門家支援などの支援を無料で実施するのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

国主導で事業承継、とりわけM&Aの推進が強まっています。

…でも、本当にどうにかしたいなら、もっと大胆に制度を変えるべきと思うのは私だけでしょうか…?
きっとこれでも事業承継は進まず、これから何度も小さくて罠だらけの税優遇制度が増えていくでしょう。

 

◆政府がM&Aに熱い視線

経済産業省は、1年ほど前に公開した「中小M&Aガイドライン」でM&Aの後押しをする姿勢を鮮明にしています。

「中小M&Aガイドライン」によると、2025年までに、
平均引退年齢の70歳を超える中小企業の経営者が約245万人おり、うち半数の約127万人が後継者未定とのことです。
廃業による経営資源の散逸が積み重なることにより、優良な経営資源が活用されないまま喪失されてしまうことは、
日本経済の発展にとって大きな損失との認識で、M&Aの普及がその対策として有効な切り札であり、
生産性の向上にも資するとしています。
そして、10年で60万、年平均10万のM&A契約を成就するとの計画を立てています。

◆計画実現のために役割喚起

そのため、売り手・買い手を繋ぐM&A専門業者の活性化を期待するとともに、
商工団体、金融機関、弁護士・公認会計士・税理士といった各分野の専門家に向けても、
それぞれの分野別にM&A支援として期待される役割や留意点などを提示しています。
M&A業界は、30年ほどの歴史の新興産業で、現在の専門業者数は300社程度とのことです。
日税連もホームページでM&Aのマッチングをすすめています。

◆切り札としてのM&A促進税制

令和3年度税制改正の中に、M&A促進税制が二つあります。
1.株式交付M&Aでの譲渡益繰延制度
2.M&A投資リスクに備えるための株式取得価額の70%損金算入制度
 株式交付の場合の譲渡益繰延制度創設は、2019年中に経産省が改正要望事項としてあげていたものですが、
会社法の株式交付制度創設の施行予定が2021年3月1日となっていたので、1年遅れでの立法となりました。これは、売り手側への優遇税制です。

もう一つの優遇税制は、買い手側に対するものです。
 M&A対価の70%損金算入の新制度の要件は次の内容です。
・青色申告中小企業者が対象
・経営力向上計画による取得
・株式の取得価額10億円以下
・投資損失準備金の計上
・6~10年経過時準備金の取崩し
・中小経営強化法改正が前提
・令和6年3月31日まで適用

現金ではなく自社株を対価とする自社株M&Aについて、買い手への優遇策が税制改正で新設されます。

自社株M&Aは、手元に現金がなくても買収を行えるため資金に余裕はないが将来性のあるベンチャー企業や、
大企業の子会社などが買収をしやすくなるという特徴があります。

しかしこれまでは、株式を受け取った側の譲渡益に多額の所得税が課されることを理由に
実行に踏み切れないケースも多いという実情がありました。

譲渡益に対する課税を繰り延べる特例が18年度に創設されていたものの、
特例を適用するためには一定の要件を満たし
産業競争力強化法に基づく「特別事業再編計画」に該当する必要があり、実用性に乏しかった面は否定できません。

そこで21年度改正では、買収対価の80%以上が自社株であるときは、
その譲渡益に対する課税を繰り延べる税制が設けられます。
新税制は既存の制度に比べて、自社株と金銭の混合対価も対象としていること、
特別事業再編計画の認定を受ける必要がなくなった点がメリットとして挙げられます。

<情報提供:エヌピー通信社>

経済産業省と総務省は、

後継者不在の中小企業・小規模事業者と事業の引継ぎを希望する者のマッチングを促進するため、
国が各都道府県に設置している事業引継ぎ支援センターが運営する後継者人材バンクと、
総務省の「地域おこし協力隊」との連携を行っています

中小企業庁では、

後継者不在事業者の事業承継を支援するため、
2011年度より中小企業のM&Aの相談や助言を行う事業引継ぎ支援事業を開始し、
2016年度までに事業引継ぎ支援センターを全国47都道府県に設置しています。
事業引継ぎ支援センターでは後継者不在の中小企業・小規模事業者と譲受を希望する事業者とのマッチングを行っています。

地域おこし協力隊とは、

都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を移動し、生活の拠点を移した者を指し、地方公共団体が委嘱します。
隊員は一定期間地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこしの支援や、
農林水産業への従事、住民の生活支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を進めていきます。

地域おこし協力隊の事業承継支援への活用に向けて、

2018年6月より経済産業省と総務省との間で連携を開始し、
静岡県で開催されたキックオフイベントを皮切りに、
事業承継に興味がある「地域おこし協力隊」と後継者不在に悩む中小企業・小規模事業者とのマッチング支援が行われるようになりました。

こうした連携の取組みを経て都市部から地方に来た地域おこし協力隊員が、
事業引継ぎ支援センターの支援を得つつ、地域で事業展開を図る後継者不在の事業を引継ぐというケースも出てきているのです。

では、地域おこし協力隊による事業引継ぎを活用した取組みとしては具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

そこで「後継者マッチング支援事業」の取組みを推進している島根県浜田市の事例についてみていきましょう。

浜田市が2017年に実施した「事業承継に関するアンケート調査」によると、
同市における60歳代以上の経営者の割合が68.6%を占め、
「自分の代で清算・廃業するつもりと回答した企業」は42.2%に上っており、後継者不在による廃業の問題を抱えています。

こうした状況を踏まえ、意欲溢れる人材を積極的に受け入れ、
地域に蓄積されたノウハウや技術といった企業価値を次世代に受け継ぎ地域経済の活性化を図るため、
後継者不在の市内事業所の事業引継ぎを目的とした地域おこし協力隊員を募集しています。

隊員の活動は、市内事業所の後継候補者として事業承継(市内事業所の事業を譲り受けた起業も含む)
を行うこととされ、2019年度に2名の募集が行われました。

活動内容としては、委嘱日から最大1年6ヶ月間を「後継者マッチング期間」として位置づけ、
この期間に商工団体の補助的な業務に従事しながら事業承継の知識や地域の実情について学びつつ、
後継者不在の事業所と積極的にコミュニケーションを図り、後継候補者として研修する事業所を決定していきます。

研修先事業所の決定以降は「研修期間」として位置づけ、研修生として後継者不在の事業所に従事しつつ「事業承継計画書」を作成していきます。

このように、地域おこし協力隊のスキームを活用して後継者不在の中小企業の事業承継を推進していくことが期待されているのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

株式を使った企業の合併や買収(M&A)について、

政府・与党は買収される企業の株主の税負担を大幅に軽減する方針を決めました。
手元の資金が少ない新興企業でも、自社株を対価にしてM&Aができれば新しい分野に進出しやすくなります。
企業が取り組む資本政策の選択肢を増やすことで、事業の再編を活性化させる狙い。
2021年度の税制改正を目指して協議を進めます。

政府は産業競争力強化法に基づき、「特別事業再編計画」と認めた企業の再編について税の優遇措置を導入しています。
買収された企業の株主が受け取った株式を売却するまで、課税の繰り延べが可能になる仕組みです。
例えば、企業が自社株を対価として買収相手の企業に株式公開買い付け(TOB)を実施した際、
相手企業の株主が応じると株式の売却と認められ、売却益相当額が課税の対象になります。
しかし、株主が受け取るのは買収企業の株式のため、納税のためには別に資金を用意しなければなりません。
税優遇は、こうした負担を回避できるものです。

ただ、この認定を受けるために設けられたハードルは高いものとなっています。
財務の健全性や雇用への配慮、新需要の開拓など9項目について細かく審査されます。
実際に認定されたケースはほとんどないため、産業界だけでなく経済産業省からも見直しを求める声が多かったのが実情です。
そこで政府・与党は、21年3月末で期限を迎える優遇措置を延長した上で、
国が計画を認定しなくても課税の繰り延べが活用できるよう改定することを検討しています。
経産省と財務省が詳細を詰めた後、さらに与党の税制調査会で揉み、12月にまとめる税制改正大綱に反映させたい考えです。

<情報提供:エヌピー通信社>

事業の多角化をねらい、事業買収をしたとき、
時価純資産価額を超えて対象事業を評価することで生じた「のれん」の価値は、いつまで継続するのでしょうか?

◆のれんの価値

のれんには譲渡した側の経営者が長年築いてきた信用、取引先との契約関係、社員のスキル・経験など、
様々な価値が内包されていますが、消費者のニーズの変化や市場の変化に応じて減価し、自社の事業に吸収されていきます。
のれんの償却は、会計・税務上、次のように扱われています。

◆会計上の償却期間

日本の会計基準では、のれんは、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたり毎期、規則的に償却します。
これは、取得事業から生じる収益と償却費用とを対応させることができること、
のれんの減価を合理的に予測することが困難であること等の考え方によります。

また、のれんの未償却残高は、減損処理の対象となり、投資額の回収を見込めないときは、減損処理が求められます。
IFRS(国際財務報告基準)では、のれんは償却せず、取得原価のまま評価されますが、
毎期、減損テストを行い、減損が認識された場合は、減損処理を行います。

◆税法上の償却期間

法人税法では、のれん(資産調整勘定)は、60か月(5年)の月割り均等償却です。
償却期間が会社の見積りで任意に設定されることを回避し、所得に与える影響を中立にさせています。

なお、償却に当たり、損金経理要件は課されておらず、会計基準が求める減損処理も法人税法では認められていません。

◆のれんの価値を育てる

事業を承継した経営者は、買収した事業を自社の事業と融合させて、
のれんの価値を高め、投資額を上回る利益の獲得を目指します。

その意味からすれば、取得したのれんは、投資の回収を見込む期間内で早めに償却を行い、
自社の新たなのれんとして育てていくべきものではないでしょうか。
 買収した事業ののれんは、イソップ物語に出てくる金の卵を産むガチョウのような存在かもしれません。
ただし、あせってガチョウの腹をさかないように。

中小企業における事業承継推進の課題として、事業承継時の経営者保証の解除があげられます。

こうした状況を受けて、「経営者保証ガイドライン」の特則が2019年12月に策定・公表され、2020年4月より運用開始に至りました。

「経営者保証ガイドライン」は、

経営者保証に関する中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルールとして2013年12月に公表されました。
具体的には
①法人と経営者の関係の明確な区分・分離、
②財務基盤の強化、
③財務状況の正確な把握、情報開示等による経営の透明性確保
といった要件を満たす中小企業が、会社経営を後継者に引き継ぐ際に、
経営者保証不要で金融機関から融資を受けられる可能性があるとともに、既存の経営者保証を解除できる可能性があります。

「経営者保証ガイドライン」の特則は、

同ガイドラインを補足するものとして、対象債権者や、
主たる債務者及び保証人のそれぞれに対して事業承継の際に求め、期待される具体的な取り扱いを定めています。

そのうち対象債権者における対応としては、
①新旧経営者からの二重徴求の原則禁止
後継者の経営者保証は事業承継の阻害要因となることを考慮して慎重に判断
③前経営者の経営者保証は、2020年4月からの改正民法で第三者保証の利用が制限されること等
を踏まえて見直すことなどが求められています。

また、主たる債務者及び保証人における対応としては、

後継者の負担を軽減させるために事業承継に先立ちガイドラインの要件を充足するよう主体的に経営改善に取り組むことが求められています。
このようなガイドランの運用によって事業承継の促進が期待されているのです。

では、事業承継時の経営者保証解除に向けて具体的にどのような専門家による支援が行われているのでしょうか。

そこで2020年4月よりスタートした「経営者保証コーディネーター」による支援の取り組みについてみていきましょう。

経営者保証コーディネーターは、

経営者保証ガイドラインの充足状況を確認し、保証解除に向けて金融機関との目線合わせをサポートする専門家で、
各都道府県の事業承継ネットワーク事務局に常駐しています。
具体的な役割としては、「事業承継時判断材料チェックシート」に基づき、
経営者保証ガイドラインの要件充足状況の確認や、経営状況の見える化を行います。
チェックシートによる主要確認項目としては、事業承継計画書、決算書、試算表、資金繰り表などがあげられます。

チェックシートに基づく確認の結果、改善が必要と判断される企業に対しては、
当該企業の要望に応じて既存制度を活用し、チェックシート充足に向けた改善計画を策定するなどといった経営磨き上げ支援を斡旋します。

一方でチェックシートの項目をクリアした企業に対しては、経営者保証解除に向けて、
企業が取引先金融機関と目線合わせ(交渉)を行う際に、
当該企業の要望に応じて目線合わせに同席し支援する専門家の派遣を行います。
専門家の派遣費用は最大支援事業で負担し利用者の負担はありません。

このように、経営者保証コーディネーターは、
法人と経営者の資産・経理の分離状況や適時適切な情報開示などといった
経営者保証解除の可否の判断に資する情報の整理・見える化をサポートすることで、
事業承継時の経営者保証解除に向けた支援を行っているのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

経営者の高齢化及び後継者不在の中小企業の増加を受けて、

2015年3月に中小企業向け事業引継ぎ検討会が「事業引継ぎガイドライン」を策定し、
2020年3月に中小企業庁によって「事業引継ぎガイドライン」を「中小M&Aガイドライン」として全面改訂されました。
ここでは「中小M&Aガイドライン」策定の背景についてみていきましょう。

「事業引継ぎガイドライン」は、

中小企業経営者のM&Aに対する理解促進のため、
M&Aに関する基礎知識等を紹介するとともにM&Aの「手引き」として活用されました。
「事業引継ぎガイドライン」の公表から約5年が経過する中で、
中小企業のM&Aが着実に進展しつつあるものの、
未だに第三者に「売る」ことを躊躇している中小企業経営者が数多く存在することも事実です。

中小企業がM&Aを躊躇する要因としては、

①M&Aに関する知見がなく、進め方が分からない
②M&A業務の手数料等の目安が見極めにくい
③M&A支援に対する不信感などに大別されます。

また、近年、事業引継ぎ支援センター等の公的機関の充実や、
中小企業を対象としたM&Aの仲介等を務める民間M&A専門業者の増加により、
中小企業のM&Aに関する環境整備も図られつつあります。

今後更なる増加が見込まれる中小企業のM&Aが円滑に促進されるためには、
より一層、公的機関、民間のM&A専門業者、金融機関、商工団体、士業等専門家等の関係者による適切な対応が重要となります。

以上のような背景から、M&Aに関する意識、知識、
経験がない後継者不在の中小企業の経営者の背中を押し、
M&Aを適切な形で進めるための手引きを示すとともに、支援機関が、
それぞれの特色・能力に応じて中小企業のM&Aを適切にサポートするための基本的な事項を併せて示すため、
「中小M&Aガイドライン」として全面改訂されたのです。

 

では、2020年3月に中小企業庁によって策定された「中小M&Aガイドライン」ではどのようなことが書かれているのでしょうか。

そこでM&Aガイドラインの骨子についてみていきましょう。

まず、第1章「後継者不在の中小企業向けの手引き」の骨子をみると、

第1節「後継者不在の中小企業にとっての本ガイドラインの意義等」においては、
中小M&Aの20の事例を紹介しています。

また、後継者不在企業におけるM&A検討にあたっての基本姿勢や留意点などについて示しています。

第2節「中小M&Aの進め方」においては、

中小M&Aの基本的なプロセスを図解するとともに、仲介者等を選定する場合における注意事項や、
契約締結時のセカンド・オピニオンの重要性など、実践的な進め方を提示しています。

第3節以降は

「M&Aプラットフォーム」、「事業引継ぎ支援センター」の特徴などを紹介するとともに、手数料の種類などについて解説しています。

つぎに第2章「支援機関向けの基本事項」の骨子をみると

第1節「支援機関としての基本姿勢」においては、中小M&A支援機関に対し、
事業者の利益の最大化の基本姿勢を提示するとともに、支援機関同士による積極的な連携の必要性について述べています。

第2節以降は、支援機関を
①M&A専門業者、
②金融機関、
③商工団体、
④士業等専門家(公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士等)、
⑤M&Aプラットフォーマーに大別し、
各支援機関の中小M&A支援の特色や、求められる具体的な支援内容や留意点について示しています。

このように「中小M&Aガイドライン」は中小企業経営者と支援機関の双方に対し、中小M&Aの適切な進め方を提示しているのです。