株式を使った企業の合併や買収(M&A)について、

政府・与党は買収される企業の株主の税負担を大幅に軽減する方針を決めました。
手元の資金が少ない新興企業でも、自社株を対価にしてM&Aができれば新しい分野に進出しやすくなります。
企業が取り組む資本政策の選択肢を増やすことで、事業の再編を活性化させる狙い。
2021年度の税制改正を目指して協議を進めます。

政府は産業競争力強化法に基づき、「特別事業再編計画」と認めた企業の再編について税の優遇措置を導入しています。
買収された企業の株主が受け取った株式を売却するまで、課税の繰り延べが可能になる仕組みです。
例えば、企業が自社株を対価として買収相手の企業に株式公開買い付け(TOB)を実施した際、
相手企業の株主が応じると株式の売却と認められ、売却益相当額が課税の対象になります。
しかし、株主が受け取るのは買収企業の株式のため、納税のためには別に資金を用意しなければなりません。
税優遇は、こうした負担を回避できるものです。

ただ、この認定を受けるために設けられたハードルは高いものとなっています。
財務の健全性や雇用への配慮、新需要の開拓など9項目について細かく審査されます。
実際に認定されたケースはほとんどないため、産業界だけでなく経済産業省からも見直しを求める声が多かったのが実情です。
そこで政府・与党は、21年3月末で期限を迎える優遇措置を延長した上で、
国が計画を認定しなくても課税の繰り延べが活用できるよう改定することを検討しています。
経産省と財務省が詳細を詰めた後、さらに与党の税制調査会で揉み、12月にまとめる税制改正大綱に反映させたい考えです。

<情報提供:エヌピー通信社>

事業の多角化をねらい、事業買収をしたとき、
時価純資産価額を超えて対象事業を評価することで生じた「のれん」の価値は、いつまで継続するのでしょうか?

◆のれんの価値

のれんには譲渡した側の経営者が長年築いてきた信用、取引先との契約関係、社員のスキル・経験など、
様々な価値が内包されていますが、消費者のニーズの変化や市場の変化に応じて減価し、自社の事業に吸収されていきます。
のれんの償却は、会計・税務上、次のように扱われています。

◆会計上の償却期間

日本の会計基準では、のれんは、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたり毎期、規則的に償却します。
これは、取得事業から生じる収益と償却費用とを対応させることができること、
のれんの減価を合理的に予測することが困難であること等の考え方によります。

また、のれんの未償却残高は、減損処理の対象となり、投資額の回収を見込めないときは、減損処理が求められます。
IFRS(国際財務報告基準)では、のれんは償却せず、取得原価のまま評価されますが、
毎期、減損テストを行い、減損が認識された場合は、減損処理を行います。

◆税法上の償却期間

法人税法では、のれん(資産調整勘定)は、60か月(5年)の月割り均等償却です。
償却期間が会社の見積りで任意に設定されることを回避し、所得に与える影響を中立にさせています。

なお、償却に当たり、損金経理要件は課されておらず、会計基準が求める減損処理も法人税法では認められていません。

◆のれんの価値を育てる

事業を承継した経営者は、買収した事業を自社の事業と融合させて、
のれんの価値を高め、投資額を上回る利益の獲得を目指します。

その意味からすれば、取得したのれんは、投資の回収を見込む期間内で早めに償却を行い、
自社の新たなのれんとして育てていくべきものではないでしょうか。
 買収した事業ののれんは、イソップ物語に出てくる金の卵を産むガチョウのような存在かもしれません。
ただし、あせってガチョウの腹をさかないように。

中小企業における事業承継推進の課題として、事業承継時の経営者保証の解除があげられます。

こうした状況を受けて、「経営者保証ガイドライン」の特則が2019年12月に策定・公表され、2020年4月より運用開始に至りました。

「経営者保証ガイドライン」は、

経営者保証に関する中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルールとして2013年12月に公表されました。
具体的には
①法人と経営者の関係の明確な区分・分離、
②財務基盤の強化、
③財務状況の正確な把握、情報開示等による経営の透明性確保
といった要件を満たす中小企業が、会社経営を後継者に引き継ぐ際に、
経営者保証不要で金融機関から融資を受けられる可能性があるとともに、既存の経営者保証を解除できる可能性があります。

「経営者保証ガイドライン」の特則は、

同ガイドラインを補足するものとして、対象債権者や、
主たる債務者及び保証人のそれぞれに対して事業承継の際に求め、期待される具体的な取り扱いを定めています。

そのうち対象債権者における対応としては、
①新旧経営者からの二重徴求の原則禁止
後継者の経営者保証は事業承継の阻害要因となることを考慮して慎重に判断
③前経営者の経営者保証は、2020年4月からの改正民法で第三者保証の利用が制限されること等
を踏まえて見直すことなどが求められています。

また、主たる債務者及び保証人における対応としては、

後継者の負担を軽減させるために事業承継に先立ちガイドラインの要件を充足するよう主体的に経営改善に取り組むことが求められています。
このようなガイドランの運用によって事業承継の促進が期待されているのです。

では、事業承継時の経営者保証解除に向けて具体的にどのような専門家による支援が行われているのでしょうか。

そこで2020年4月よりスタートした「経営者保証コーディネーター」による支援の取り組みについてみていきましょう。

経営者保証コーディネーターは、

経営者保証ガイドラインの充足状況を確認し、保証解除に向けて金融機関との目線合わせをサポートする専門家で、
各都道府県の事業承継ネットワーク事務局に常駐しています。
具体的な役割としては、「事業承継時判断材料チェックシート」に基づき、
経営者保証ガイドラインの要件充足状況の確認や、経営状況の見える化を行います。
チェックシートによる主要確認項目としては、事業承継計画書、決算書、試算表、資金繰り表などがあげられます。

チェックシートに基づく確認の結果、改善が必要と判断される企業に対しては、
当該企業の要望に応じて既存制度を活用し、チェックシート充足に向けた改善計画を策定するなどといった経営磨き上げ支援を斡旋します。

一方でチェックシートの項目をクリアした企業に対しては、経営者保証解除に向けて、
企業が取引先金融機関と目線合わせ(交渉)を行う際に、
当該企業の要望に応じて目線合わせに同席し支援する専門家の派遣を行います。
専門家の派遣費用は最大支援事業で負担し利用者の負担はありません。

このように、経営者保証コーディネーターは、
法人と経営者の資産・経理の分離状況や適時適切な情報開示などといった
経営者保証解除の可否の判断に資する情報の整理・見える化をサポートすることで、
事業承継時の経営者保証解除に向けた支援を行っているのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

経営者の高齢化及び後継者不在の中小企業の増加を受けて、

2015年3月に中小企業向け事業引継ぎ検討会が「事業引継ぎガイドライン」を策定し、
2020年3月に中小企業庁によって「事業引継ぎガイドライン」を「中小M&Aガイドライン」として全面改訂されました。
ここでは「中小M&Aガイドライン」策定の背景についてみていきましょう。

「事業引継ぎガイドライン」は、

中小企業経営者のM&Aに対する理解促進のため、
M&Aに関する基礎知識等を紹介するとともにM&Aの「手引き」として活用されました。
「事業引継ぎガイドライン」の公表から約5年が経過する中で、
中小企業のM&Aが着実に進展しつつあるものの、
未だに第三者に「売る」ことを躊躇している中小企業経営者が数多く存在することも事実です。

中小企業がM&Aを躊躇する要因としては、

①M&Aに関する知見がなく、進め方が分からない
②M&A業務の手数料等の目安が見極めにくい
③M&A支援に対する不信感などに大別されます。

また、近年、事業引継ぎ支援センター等の公的機関の充実や、
中小企業を対象としたM&Aの仲介等を務める民間M&A専門業者の増加により、
中小企業のM&Aに関する環境整備も図られつつあります。

今後更なる増加が見込まれる中小企業のM&Aが円滑に促進されるためには、
より一層、公的機関、民間のM&A専門業者、金融機関、商工団体、士業等専門家等の関係者による適切な対応が重要となります。

以上のような背景から、M&Aに関する意識、知識、
経験がない後継者不在の中小企業の経営者の背中を押し、
M&Aを適切な形で進めるための手引きを示すとともに、支援機関が、
それぞれの特色・能力に応じて中小企業のM&Aを適切にサポートするための基本的な事項を併せて示すため、
「中小M&Aガイドライン」として全面改訂されたのです。

 

では、2020年3月に中小企業庁によって策定された「中小M&Aガイドライン」ではどのようなことが書かれているのでしょうか。

そこでM&Aガイドラインの骨子についてみていきましょう。

まず、第1章「後継者不在の中小企業向けの手引き」の骨子をみると、

第1節「後継者不在の中小企業にとっての本ガイドラインの意義等」においては、
中小M&Aの20の事例を紹介しています。

また、後継者不在企業におけるM&A検討にあたっての基本姿勢や留意点などについて示しています。

第2節「中小M&Aの進め方」においては、

中小M&Aの基本的なプロセスを図解するとともに、仲介者等を選定する場合における注意事項や、
契約締結時のセカンド・オピニオンの重要性など、実践的な進め方を提示しています。

第3節以降は

「M&Aプラットフォーム」、「事業引継ぎ支援センター」の特徴などを紹介するとともに、手数料の種類などについて解説しています。

つぎに第2章「支援機関向けの基本事項」の骨子をみると

第1節「支援機関としての基本姿勢」においては、中小M&A支援機関に対し、
事業者の利益の最大化の基本姿勢を提示するとともに、支援機関同士による積極的な連携の必要性について述べています。

第2節以降は、支援機関を
①M&A専門業者、
②金融機関、
③商工団体、
④士業等専門家(公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士等)、
⑤M&Aプラットフォーマーに大別し、
各支援機関の中小M&A支援の特色や、求められる具体的な支援内容や留意点について示しています。

このように「中小M&Aガイドライン」は中小企業経営者と支援機関の双方に対し、中小M&Aの適切な進め方を提示しているのです。