事業承継についてのシリーズです。
(過去 Vol.1 Vol.2

今回は、一番の悩みの種といっても過言ではない事業承継にかかる税金について、
ご紹介します。

・なぜ株式にかかる税金を理解する必要があるか
・株式にかかる税金とは
・対策3つ

なぜ株式にかかる税金を理解する必要があるか

税金のことは専門家に任せればいい、と考えがちですが、
こと事業承継においてはそうではありません。

なぜなら、大きな決断であり、承継者本人にしか悩めないことがあるからです。
悩み、考えるためには、その材料が必要となります。

その材料の一つが税金であり、その税金のもととなる株式に関する取り扱いです。

株式にかかる税金とは

漠然と株式、相続には税金がかかると理解している方もいらっしゃるかもしれませんので、
簡単に整理します。

事業承継と一口に言っても、株式の渡し方、承継の仕方にはいくつか方法があります

大きくは、売買する方法あげる方法に分かれます。

売買する方法は、後継者が資金を用意して、先代から株式を買い取ります。
この場合、後継者は買取の資金を用意する必要があり、先代には売却に伴って税金がかかります。

ちなみに、売買や資金の用意の仕方にもいくつか方法があります。

一方、あげる方法というは、贈与か相続です。
贈与は生前に、相続は亡くなった場合に株式を後継者がもらいます。

この場合には、相続税や贈与税がかかります。
ちなみに、こちらも贈与や相続の方法にはいくつか方法があります。

どちらがお得かというと、その規模やそれぞれの資力など、総合的に考えないとわかりません。
また、影響が大きい話のため、税金の問題だけではありません。
例えば、各家族間の状況や、人間関係、会社の信用力や会社の状況などなどです。

対策3つ

検討すべきことは山ほどありますが、この税金の問題に対して、代表的な対応策を3つ紹介します。

①株価を下げる

株価を下げると、売買で用意する資金や相続税や贈与税などの税金が減ります。
そのため、様々な方法で株価を下げることが有効です。

②事業承継税制を利用する

事業承継税制は株式にかかる相続税や贈与税が劇的に減る(もしくはゼロ)方法です。
ただし、それだけ効果があるモノなので、それだけリスクもあります。

③何も考えない

子供や家族に迷惑をかけないように気を配り、対策をすることは素晴らしいことで、
私たち専門家としてもお勧めします。

しかし、考えすぎる、悩みすぎる、または、緻密にやりすぎて大きなリスクや代償を払うこともあります。
思い通りにいかないこともあります。

また、先代、創業者は壮絶な道のりを経てきています。
楽に事業承継することが良いこととは言い切れません。

そのようなこともあるので、何も考えない、何も対策しない、あるいはシンプルなものにする、
というのも一考です。

バトンタッチ

不動産を使った相続税の節税を巡る裁判について、報道がなされました。

結果は、納税者敗訴。

争点は、「通達による評価が著しく不適当(安すぎる)」かどうか、でした。

これは、今後相続を迎える方全員に影響がある税法の謎と危険性を孕んでいると考えられます。

・裁判について詳しく
・何が問題なのか
・今後への影響は?
・最後に

※あくまでも私見や推測を混ぜたコラムです※

裁判について詳しく

内容について、かいつまんで内容をまとめると次の通り。

・相続の数年前に2つの不動産を購入。
・不動産二つは、合計で約14億円でローンを組み購入。
・相続時の法令(財産評価基本通達)に従って評価した金額は約3億円。
・鑑定評価額は約13億円。
・国側(税務署側)は、約3億円ではなく、約13億円で評価するように処分した。
・最高裁まで争った結果、国側(税務署)の処分が適当だと認められた。

そして、注目された点をいくつか紹介します。

①第一審、第二審は納税者が敗訴していたが、最高裁で口頭弁論が開かれたた。
つまり、「逆転勝訴の可能性があった


②もし13億円で評価することが最高裁でも是とされた場合には基準が示されるのではないかと考えられた。
つまり、「どういう状況だと、鑑定評価の方を採用すべきかという基準が示される期待


③いずれにしても、相続税対策や相続税の申告に与える影響が大きい

 

何が問題なのか

一見すると、「13億円と3億円では差がありすぎる」「金持ちはけしからんから妥当だ」
とも思える判決です。

実際に、否認の根拠とされた財産評価基本通達6項には次のようにあり、
このケースでは、著しい乖離があるといって差し支えないと考えられます。
「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の評価は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」

では、何が問題なのか、何点か見てみましょう

①合法でも否認される可能性がある、という予見可能性に与える影響

メディアの報道だけだとよくわかりませんが、詳しく見ると、
節税を目的として不動産を購入したような経緯がありました。
この点、「税負担が不公平だ」となる一つの材料とされています。

しかし、資産家の方が税負担が減ることを目的にしないで不動産投資を行うことがあるでしょうか?

また、過去には「相続直前に購入し、相続直後に売却した」事例がありますが、
その事例と比較しても今回は1つの不動産は保有し続けているなど、
ことさら節税を目的としているとは言い切れないのではないでしょうか。

②どのような状況であれば鑑定評価を利用すべきかがわからない

相続税は、申告納税方式です。
申告納税方式とは、納税者が自ら申告書を作って、申告する方式です。
つまり、著しく乖離していて、これは法令通りではいけないなと考えられる場合には、
鑑定評価を利用することになります。

でも、この「鑑定評価を適用すべき時」とはいつなのか、これが全く分からないままです。

法律、税金においては、「予見可能性」とか「法的安定性」というものが重要視されます。
それに対して、今回の一連の裁判の結果、より”よくわからないもの”であり、
「国が使いたいときに使う後出しじゃんけん」だとも取れます。

 

今後への影響は?

今後への影響は、様々な方面にあると思います。

まず不動産業者は相続税の節税を目的にした不動産投資は勧めにくくなると思います。
あるいは新しい切り口がでてくることでしょう。

会計事務所は、相続税の申告やシミュレーションの際、あるいは不動産購入のご相談を受けた際など税務相談時に、
この点を考慮しないと訴訟に発展する可能性があります。
しかも、法令に従っても、従わなくても、です。

不動産鑑定士や不動産屋さんは、鑑定評価の依頼が増えるでしょう。
一方で、節税に使うことを暗に目的とした業者も出回るかもしれません。

法学者の方は、今回のことについて様々な論文を書くことになると思います。

そのうち法令も改正されるでしょう。

最後に

法令が改正され、より明確な基準になることを期待します。

それまでは次のような対応を取ろうと思います。

①不動産投資の際には、節税目的のみを目的としないこと。
そしてそれを明確に証拠として残す事
②相続対策は早めに行うこと
③申告などに際しては、総則6項の可能性を必ず確認すること
悩み

お金をあげたりもらったり、タダで高級なものをあげたりもらったらしたら、
贈与税がかかることをなんとなく知っている方も多いと思います。

しかし、「安く買えばセーフ」と考えてしまうのも危険なことはご存じでしょうか?

今回は、「とても安い金額でモノを売買」するときの注意点をご紹介します。

・贈与税の基本
・とても安い金額で売買すればセーフ?
・どうやって税金がかかる?

贈与税の基本

まずはじめに、贈与税について確認しましょう。

贈与税は、贈与が一定の金額以上ある場合にかかる税金で、比較的税率が高いです。
また、贈与を簡単に言うと、「一人がタダで何かをあげ、もう一人が”わかった”ともらう」という行為(契約)です。

贈与税は、この「タダで価値あるモノをもらった」=「税金負担できるよね」という考え方で、税金を課しています。
更に、贈与や贈与税というのは、一般的には親族間で行われるので、「将来相続税がかかる財産を生前に贈与する」ことに
対しての、税金の前払い的な性格もあります。
(見方によっては色々と存在意義がいえます)

 

とても安い金額で売買すればセーフ?

本題です。

贈与が上記のような契約であれば、
「タダじゃなければいいのでは(贈与税がかからないのでは)」と考えられます。

しかし、税金はその実態や実質に着目するため、
「実質的にタダであげているとみなせる部分」については贈与として
決めつけて、税金がかかることになります。

例えば、1,000万円の価値がある宝石を親から子供へ10万円で売ったとします。
「売買」なので「贈与」ではないように思えますが、実態は、
「990万円を贈与」していることと同視するということです。

 

どうやって税金がかかる?

このような贈与としてみなされて、贈与税がかかる状態は、
「時価に比べて著しく低い価額による譲渡」が行われたとき、と言われます。
そして、上記の通り、「著しく低い価額」上記の例だと990万円が贈与とみなされて、
贈与税がかかることになります。

ここでさらに2点問題があります。

①時価

まず、「時価と比べるというが、時価とは何か」という問題です。
簡単な例だと、上場株式はその贈与があった日の株価を使えばいいし、
例えばAさんが宝石を買った日にBさんにあげた場合には、その買った金額でいいでしょう。

一方で、時価がわかりにくいものは、「時価とは何か」が非常に難しくなります。

②著しく低い価額

また、「著しく低い」とはどれくらいなのか?という問題があります。

上記の例でいう「1,000万円を10万円で」については、ほとんどの人が異存なく「著しく低い」と考えます。
一方で、例えば、「1,000万円のものを600万円で」であったり、「1,000億円のものを990億円で」となるとどうでしょうか?

400万円や10億円という金額なのか、40%や99%という割合に着目するのか、という議論が始まります。

 

資産をお持ちの方が亡くなる(相続が開始する)と心配になるのが相続税です。
代々資産家の家系や事業を行っていた場合だと、相続税に関する知識や税理士との繋がりがあり、
いわゆる【配偶者控除】という言葉を見聞きしたことがあると思います。

この配偶者控除(配偶者の税額軽減)について、ご紹介します。

・配偶者の税額軽減とは
・配偶者はいくらまで相続税がかからないのか
・配偶者の税額軽減の注意点

 

配偶者の税額軽減とは

相続税における配偶者の税額軽減とは、亡くなった方の配偶者(妻や夫)の相続税の負担が軽減される制度です。
夫婦は一体として存在しているので、どちらかが亡くなって生活の基盤が無くなることへの配慮というイメージです。

具体的には、1億6千万円か法定相続分相当額のいずれか多い金額までは相続税がかかりません。


配偶者はいくらまで相続税がかからないのか

わかりやすくいうと、

相続税がかかる財産全体×法定相続分(最低でも1億6千万円)までは相続税がかかりません。

具体的には、相続税がかかる財産全体が2億円の場合には次のそれぞれ。

・相続人が配偶者のみ…法定相続分は1/1→2億円までかからない
・相続人が配偶者と子供…法定相続分は1/2→1億円<1億6千万円∴1億6千万円までかからない
・相続人が配偶者と親…法定相続分は2/3→1.3億円<1億6千万円∴1億6千万円までかからない


配偶者の税額軽減の注意点

相続税の税額軽減については、注意点もあります。

申告しないといけない
配偶者であれば適用されるこの規定ですが、規定を適用したい場合には、
相続税の申告でその旨の申告をしないといけません。

内縁はだめ
近年様々なパートナーの形があり、政治の分野でも議論がありますが、
この規定は、法的に婚姻している配偶者しか使えません。

入籍を検討してもいいかもしれません。

未分割はダメ
「取得した財産のうち」という規定である通り、
未分割(誰がどの財産を相続するか決まっていない)状態だと使えません。

分割はスムーズに行いましょう。

次の相続を考えると
相続税が非常に減額されるこの規定ですが、
配偶者に財産が集中しすぎると、次にその配偶者が亡くなった場合の相続税が
比較的多額になる可能性があります。

配偶者の生活を保護するため、という観点と、経済的にどちらが有利か、
といった複合的な検討が必要になります。

隠ぺい仮装経理した財産はだめ
あまり想定されないことですが、もし隠していた財産が発覚した場合、
その財産に関してはこの規定は使えません。
相続税の申告に際しては、しっかり財産を公にして申告したほうが結果的に
得することもあります。

申告漏れの内容にしましょう

税金

ほとんどの人に関係のある火災保険料ですが、2022年10月から大幅に値上げします。

1.なぜ値上げ?
2.いくら値上げに?
3.影響がある人は?
4.まとめ

1.なぜ値上げ?

値上げは多くの保険会社が行います。
近年日本では豪雨や台風などによる損害、そして。
また、保険会社はさらに別の外国の保険会社に再保険していることが多いですが、
その世界においても災害が多発しているため、再保険料も高騰。

これらの影響から、日本の損害保険会社各社は赤字が生じています。
これらの状況から値上げになりました。


2.いくら値上げに?

保険会社によって違いはあるものの、近年では1番の値上げになる見込みです。
年間で10%以上値上げする可能性があります。

3.影響がある人は?

冒頭の通り、ほとんどの人が火災保険料は支払っているため、かなり多くの方に影響が出ます。
また、弊所でも多くの不動産オーナーのお客様がいらっしゃいますが、
そのような方にとってはこの値上げはかなり影響があるといえます。

ここに影響があるということは、不動産の賃料に転嫁せざるを得ないといえます。
次は家賃の値上げが起きるかもしれません。

 

倒産

財産を一定額以上お持ちの方が亡くなると相続税がかかることがあります。
ではこの「財産」とはなにか、を考えたことがありますか?

今回はこの「相続税がかからない財産」の一部をご紹介するとともに、
活用方法を考えましょう。

・相続税がかからない財産は?
・非課税財産の活用方法
・最後に

相続税がかからない財産は?

  1. 相続税は、かかる財産とかかからない財産があります。
    その中でも次のモノは相続税法という法律で、相続税がかからないと決められています。
    (一般的に関係ありそうなものだけ紹介します)

1.墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物

財産でありますが、これらに対して税金をかけるのはちょっと嫌ですよね。

2.相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分

法定相続人が3人だとすると、合計で1500万円までは税金がかかりません。
この場合の「生命保険金」は、基本的には、
「亡くなった人が保険料を払っていて、亡くなったことにより保険金が支払われるもの」です。

3.相続によって取得したとみなされる退職手当金等のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分

法定相続人が3人だとすると、合計で1500万円までは税金がかかりません。

4.国などに寄付した場合

別のコラムでも紹介しましたが、国など公共性の高いところへ寄付するとその分税金が掛からなくなったりします。

非課税財産の活用方法

非課税とされる財産のうち、ぜひ使った方がいいのが、上記の2.「生命保険金」です。
例えば、お金を持って亡くなると税金が掛かりますが、
この「非課税枠」を使うと、同じ金額が相続人の手元に行く場合でも、
税金が減ります。

本来「何かあった時のために入る」のが保険ですが、この場合だと、
「どうせ同じ金額相続するならば非課税で相続させる」という使い方です。

最後に

この記事で紹介したものは、相続税の計算上、税金がかからないと決められている財産の一部です。
つまり、ほかにも税金があるいは税金が少なくなるように対策をする方法がいくつかあります。

インターネット等で情報は簡単に手に入りますが、どれも断片的です。
税金はあらゆる角度から包括的に検討することによりよりメリットが受けられたり、
思わぬ落とし穴にはまることを回避できます。ぜひ包括的に税理士にご相談ください。

相続における生命保険金の役割と注意点

生命保険金は、相続税において節税や納税資金として活用されることがありますが、
うっかり相続税の申告に含めることを忘れてしまうことも多い財産です。

これは、納税者の誤解や失念、税理士への説明が漏れた、という理由があります。
今回は、この相続における生命保険金について、
・相続税の取り扱い
・なぜ誤解が生じてしまうのか、
・相続税の計算から漏れてしまった場合のペナルティ
についてポイント解説します。

要注意して、税務署に”隠蔽仮装だ”と指摘され、
多額の税金を急に負担することに…なんてならないようにしましょう。

◆被相続人が保険料を負担した生命保険金は、相続税では申告対象

結論から言えば、被相続人が保険料を負担した生命保険金は、相続税では申告対象です。

この場合の生命保険金は、民法上の相続財産ではありません。
しかし、経済的な実質は、被相続人の死亡によって財産を取得するため
相続財産又は遺贈財産とみなして相続税が課税されます。

相続税での取り扱いは?非課税措置がある

この場合の生命保険金については、法定相続人1人当たり500万円の非課税措置があります。
つまり、その限度額を超える部分のみの課税で済みます。

例えば、法定相続人が2人、生命保険金額が1,200万円だった場合、
非課税の枠が1,000万円あるため、それを超える200万円が相続税の課税対象となる、ということです。
※ほかに基礎控除額などがあるので、必ずしも相続税が係るとは限りません※

遺産分割や遺留分での生命保険料の取り扱いは?

生命保険金は特定の相続人だけが取得するもの。
そのため、遺産分割で考慮すべきかが問題になります。
この点、「保険金の額、遺産総額に対する比率、同居の有無、被相続人に対する介護の度合い、
各相続人の生活実態などの諸事情を総合考慮して相続人の間で
不公平が是認できないほどに著しい特段の事情がある場合は、
特別受益に準じて持戻しの対象と解するのが相当である」と判示した判例があります。
要するに、
・直ちに遺留分の計算に入れるわけではない
・ただし、著しく事情の場合には計算に入れる
ということです。

極端な例だと、生命保険金が1億円でそのほかの相続財産が100万円だった場合などは注意が必要です。

◆誤解の原因ー生命保険金は相続財産ではない!

相続税の計算に入れるのに、なぜ誤解が生じて、申告漏れなどが生じてしまうのでしょうか?

これは、保険金の法律上の取り扱いと相続税の計算上の取り扱いの違いが一つの原因になっているかもしれません。

法律上は、生命保険金は相続によって被相続人から承継されるものではありません
これは”保険金受取人の固有の財産”という建付けになり、遺産分割の対象とはなりません
つまり、生命保険金をもらう人のモノ(保険料を負担した人からもらったもの、ではない)ということです。

しかも、被相続人が生前、相続人に贈与した生計の資本、
養子縁組や婚姻のための贈与(特別受益)にも、基本的には該当しません。

そのため、”生命保険金が相続税の申告対象にはならない”と勘違いしてしまう可能性があります。

一方で、相続税の計算上は、この場合の生命保険金は、相続財産とみなして計算する、ことになっています。

 

◆申告漏れた場合のペナルティ

税務調査で生命保険金の申告漏れが判明した場合、不足税額に加えて、以下ペナルティがあります。

・滞税(納付遅延期間の利子に相当)
・過少申告加算税(10%又は15%)

また申告漏れが隠蔽仮装であると認定された場合は、過少申告加算税に代えて

・重加算税(35%又は45%)

が課されますので、合計約1.5倍もの税負担が生ずる可能性があります。

まとめ

ポイントをまとめると以下の通りです。
・被相続人が保険料を負担した生命保険金は、相続税の課税対象
・非課税金枠がある
・漏れた場合には重いペナルティがある
生命保険金を受け取る人がいるときは、必ず契約内容を見て課税上の取扱いの確認をしましょう。

 

民法改正により特別寄与料が変わった!

相続人以外の者は、遺産分割協議には入れませんし、
いくら相続人以外の人が、被相続人の療養看護に努めても経済的な保障はありませんでした。

つまり、例えば長男の嫁が義理の父の面倒をいくら見ても、1円ももらえないことがありました。

しかし、令和元年7月から民法改正により、相続人以外の親族の「特別の寄与」が
制度として確立され、特別寄与料の請求が認められるようになりました

これによって、例えば上述の長男の嫁が療養看護を行っていた場合などに対して、
法律的にもが整備されたといえます。

 

 

療養看護による特別の寄与とは?

「特別の寄与」の制度の意味

被相続人の親族(相続人以外)で
無償により被相続人の療養看護その他の労務を提供し、
被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者が、
相続人に対し、寄与に応じた額の金銭の支払を請求できるもの

つまり、被相続人や被相続人の財産を守ったりするお手伝いを一生懸命やった方が、お金をもらえる、
ということだといえます。

特別の寄与の請求はいつする?

相続人との間で協議が整わない場合、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できます。
相続の開始及び相続人を知った時から6か月以内、または相続開始から1年以内に限られます。

特別の寄与の金額は?

といっても、これまでの家庭裁判所の審判によって特別寄与料としてされた評価は、
介護サービス報酬の単価に介護日数を乗じ、寄与の態様に応じた裁量割合を考慮して算定。
その評価額は数百万円程度です。
内閣府の統計調査(2016年)でも専業主婦による家事活動の評価額を年間で約300万円としています。

特別寄与料は、みなし遺贈として課税されるので相続税に注意

特別寄与料の課税上の扱いは、
被相続人から遺贈により取得したものとみなして相続税が課税されます。

長男の嫁の場合、被相続人の一親等の血族及び配偶者ではないため、
相続税額は2割加算となり、特別寄与料の確定を知った日の翌日から10か月以内に、
相続税申告書の提出が必要です。

特別寄与料を払う側は債務控除になって相続税が軽減

一方、特別寄与料を負担する相続人は、特別寄与料の負担分を債務として控除できます。
つまりその分相続税が少なくなることになります。
また、既に相続税の申告書を提出していたときは、更正の請求をして、
債務控除後の金額での申告をやり直し、還付を受けることができたりします。

特別の寄与を認めてもらうためには?

法律で手当てがなされたといっても、証明できなければ難しいことにかわりはありません。

つまり、例えば長男の嫁が義理の父の介護にどれだけ努めていたかは、
家庭内で被相続人の療養看護によって財産の維持・増加に努めた行動記録を残しておくことが肝要です。

特別の寄与以外での報いる方法

また、特別寄与者は被相続人の心のケアを担う反面、様々なストレスも負っていることでしょう。
それに報いるためには、遺贈を選択することもできます

もちろん、法律も改正でサポートしていますが、
一番大切なのは感謝や尊敬など、ということは変わらないと思います。

 

 

遺贈による寄附や寄付による税金の優遇は、制度としては昔から存在していますが、
あまり多く認知されていなかったような気がします。
また、寄附を受け入れてもらえるハードルも高く、なかなか実行することが難しい一面もあります。

しかし、情報化社会の中でこれまで以上に認知が増し、社会貢献・寄附文化も強くなってきている昨今、
遺贈による寄附はより身近なものとなっています。

今回はPision合同会計事務所でも取り扱いの多い相続税の分野のうち、この遺贈寄附について、
以下のポイントを解説します。

・遺贈寄附とは何か?
・遺贈寄附はどのように行えばいいのか?
・遺贈寄附の税務-注意点
・遺贈寄附の税務-優遇制度
・遺留分に注意!

 

遺贈寄附とは何か?

遺贈寄附とは、国や地方公共団体、公益法人等に、財産を遺言で贈与すること
及び被相続人の生前の意思を引継いだ相続人が、相続財産を贈与することをいいます。

遺贈寄附はどのように行えばいいのか?

①まずは遺贈先の選定をします

当たり前のような気もしますが、これが一番重要といっても過言ではありません。
自分の意思を反映し、しかも自分が寄付しようとしている財産を受け入れてくれる先を見つけることが重要です。
(基本的には現金預金の寄附のみを受け付ける団体が多いので要注意です)

探し方は、例えば新聞やweb情報などから支援する法人を探します。

遺言執行者を選定して遺言書を作成

ここからは特に税理士をはじめ、弁護士、司法書士、行政書士など専門家に相談しましょう。
せっかくの寄付先が見つかっても、遺言でその寄付について触れていなかったら実行されません。
また、遺言で書いていてもその通り実行されるかも未確定です。

遺言執行者はどなたでも構いませんが、司法書士などの法律の専門家や、
確実に執行してくれるご家族でも大丈夫です。

なお、遺言は自筆証書遺言も選択できますが、
確実性を確保するため念のため公正証書遺言のほうが望ましいといえます。

遺贈寄附の税務-注意点

社会貢献にもなる遺贈寄附ですが、そのような想いにもかかわらず税金が掛かってしまうことがあります。

というのも、通常は、土地や建物、株式など譲渡所得の基因となる財産を法人に遺贈した人には、
通常はその財産の取得から遺贈時までの値上り益に譲渡による所得税が課されます

また、寄附先の法人においては、人間ではない法人は相続税などはかからないのが原則ですが、
遺贈した人やその親族などの税負担を不当に減少させる場合には、
下記の非課税承認は取り消され、遺贈した人又は遺贈先の法人に
税金が課されることになります。

この制度を使った安易な租税回避はしてはいけません。

遺贈寄附の税務-優遇制度

一方で、公益法人等への遺贈(譲渡)で、国税庁長官に申請して承認を受けた場合は非課税となります。
したがって、寄付先への寄付が、その承認を受けられるものなのかの確認が必要です。

また、相続人が被相続人の意思を引継ぎ、相続財産を国や地方公共団体、
公益法人等に贈与する場合にも相続税を非課税とする制度があります。
この場合も不動産等の贈与について譲渡所得税を非課税とするには、国税庁長官の承認が必要です。

遺留分に注意!

高齢化が進み、遺贈寄附の希望者も増えていくかもしれません。
ただし、相続財産には遺留分があります。
遺贈寄附を決めるときは、相続人の遺留分にも配慮し、後で
トラブルが生じないようにしましょう。

相続における土地の登記制度の改正

Pision合同会計事務所でも相続税のご相談、ご依頼を多数受けておりますが、
その相続における問題の一つが、
所有者がわからない、連絡がつかない所有者不明土地
です。
相続や不動産の実務に携わっていると、意外とこの所有者不明土地が多いことに驚きます。
この問題に関して、法律の改正をポイント解説したいと思います。

・不動産登記制度の厳格化
・不動産登記制度の緩和
・不動産を国が買い取る?相続土地国庫帰属制度
・民法の見直し

結論から言えば、「厳格化の面も、緩和された面も、利便性向上した面もある改正」となっています。

不動産登記制度の厳格化

まずは、相続登記が義務化されました。
過去においては、相続登記をしなくても罰則はありませんでしたが、これが変わりました。

相続によって不動産を取得した者は、
その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しないと10万円以下の過料(罰金)がかかります。

不動産登記制度の緩和

一方で、相続登記に関して緩和もされました。
これまで共有の場合などには共同して申請しなければならなかった登記申請について、
自らを登記名義人の法定相続人であることを申し出れば、
単独で登記申請できる「相続人申告登記が新設されました。
これで登記申請義務を履行したものとみなされます。

登録免許税も軽くなる方向です。

不動産を国が買い取る?”相続土地国庫帰属制度”

さらに、国が土地を買い取る制度もあります。
ただし、ハードルは相当高いです。

建物は相続人が取り壊して更地にする、土壌汚染や埋設物のある土地、崖地、担保権の設定された土地、
通路に利用される土地、境界に争いのある土地などは、買取りの対象からはずされています。

しかも、買い取る場合でも10年分の管理費用を国に支払うことが条件となるなど、
なかなか利用は難しそうです。
相続税の物納や寄付もハードルは高いですので、似たような感じです。

民法の見直し

民法も変わっています。
遺産分割協議の長期未了状態を解消するため、
相続開始から10年経過したときは、特別受益者の相続分や寄与分によらず、
画一的な法定相続分で遺産分割することとなりました。

さらに、新たな管理制度が創設され、選任された管理人が当該土地の管理や売却できるようになりました。
また、所有者不明土地を電気などのライフライン確保に利用できるようになりました。

◆相続で所有者不明土地にしないために

親世帯と同居することが少なくなり、相続が起きると土地や建物の利用目的が失われ、
維持コストの負担も重くなります。
行き場のない不動産としないためにも親の世代が将来の活用や処分に責任をもって臨むことが必要な時代になったと言えそうです。

倒産