確定申告に向けてご相談の多い論点の一つである家賃に関する解説です。
「事業に必要な部分は、一定の部分を除き、経費になる」というのが結論ですが、
以下のポイントを概説します。
・家賃は経費になるか?
・家賃は全額が経費になるか?
・家賃を経費にするための按分方法とは?
・家賃を経費にする場合の注意点は?
家賃は経費になるか?
所得税の計算上、事業に必要な支出は経費になります。
つまり、結論から言えば、自宅で仕事をしている個人事業主は家賃を経費にできます。
家賃は全額が経費になるか?
では、家賃はそのまま全額が経費になるかというと、違います。
当然ですが自宅の家賃は、事業だけではなく、個人の生活のための家賃でもあります。
個人の生活のための家賃は経費になりません。
経費にできるのは、国税庁のWebサイトによれば、
①総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
②その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
とされています。
つまり、「事業を行う上で直接発生した費用だけ」が経費。
事業主部分の家賃と生活のための家賃を分けて、事業主部分の家賃は経費となるわけです。
家賃を経費にするための按分方法は?
「事業の部分だけの家賃は経費」とのことですが、では、その部分をどのように算定するか?
この「按分の方法」については、実績、実態が重要です。
つまり、利用した時間や使用している面積などを基に算定することになります。
賃貸の場合は家賃を、持ち家の場合は減価償却費を按分することになります。
ポイントは按分した金額の根拠を、客観性のある根拠に基づいて説明できるか、です。
例えば賃貸契約書や間取り図、家賃の支払いが分かる通帳記録、
自宅での作業時間の記録など、根拠となり得るものを揃えておくことになります。
家賃を経費にする場合の注意点は?
上記のように計算をして家賃や減価償却費の一部を経費として計上できますが、
他にも次のような注意点があります。
①配偶者や親族に支払う家賃は?
配偶者や親族に支払う地代家賃は経費になりません。
②白色申告の場合
家賃按分については白色申告の場合、事業用の割合が5割を超えていなければ認められません。
③持ち家で居住・事業両方に利用している住宅を建て替える場合
住宅ローン控除が適用されるのは事業用部分が50%未満の場合で、
居住部分が50%以上であっても、住宅ローン控除が適用されるのは居住用部分のみとなるため、
持ち家の事業分の減価償却費を按分した結果、その割合分は住宅ローン控除が受けられなくなります。
つまり、住宅ローン控除と経費計上とどちらが有利か検討したほうがいいでしょう。
まとめ
今回は、確定申告に際してご相談の多い家賃に関して解説を行いました。
ポイントとしては
・基本的には経費になる
・経費になるのは、根拠がある、事業共用部分のみ
・算定した家賃であっても、親族の場合、住宅ローン控除がある場合、白色申告の場合には要注意
といったところです。
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